2011年8月30日火曜日

中国鉄道部の汚職

 中国には鉄道省という省はありません。鉄道部です。したがって、そこの長は部長となります。日本でいうと大臣です。

さて、中国湖南省の共産党委員会と同省政府が運営するニュースサイト「紅網」は82日までに、高速道路建設にからむ汚職容疑で鉄道部幹部ら6人が新たに党中央規律委の取調べを受けていると報じました。同部幹部の一人は米国とスイスに28億ドル(2160億円)を蓄財していた疑いがもたれています。

2月には汚職問題で劉志軍前鉄道部長が更迭されたほか、昨年10年に同省ファミリー企業のトップも拘束されており、これまでに少なくとも8人に捜査の手が及んだことになります。

同サイトによると、28億㌦の巨額蓄財疑惑で取り調べられているのは「高速道路の第一人者」と呼ばれた前運輸司長の張曙光氏です。

張前司長の妻は息子とともに米ロサンゼルスに3軒の豪邸をもっているとされます。張前司長は劉前鉄道部長の右腕として副技師長も兼ね、高速鉄道網計画を推進してきました。

鉄道部長は計画経済時代から、鉄道に関する行政部門と建設や運営など現業部門一括管理していました。建設事業を人民解放軍に委ねたり、江沢民前国家主席らと関係を深めたりして利権構造を次第に肥大化させ、国務院(政府)の指示すら及びにくい「独立王国」と呼ばれてきました。

中国の運輸行政は、鉄道部と航空や水運、道路を管轄する交通運輸部に分けられています。今回、「腐敗の温床の中枢」に捜査が入ることで、次の焦点は鉄道の現業部門の分離や民営化、交通運輸部との統合など組織の再編に移っていきます。

「紅網」は鉄道部から激しい抗議を受け、今回の記事をネット上から削除しました。同部が巻き返しを図ろうとしている可能性もあるということです。

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