「トランジスタラジオのセールスマンみたいだ」と、昭和37(1962)年の秋にフランスを訪問した池田勇人首相を、ドゴール大統領はこう評したといいます。現地の新聞が、大統領の側近からの情報として報じたそうです。
池田首相は大いに憤慨して、「ゴシップ記事にすぎない」「ケネディ(米大統領)にさえも、チキンの商人といったものがある」とムキになってやり返し、爆笑を誘いました。
しかし、今や「セールスマン」という言葉は、一国の首脳に対してのほめ言葉といえます。フランスのサルコジ大統領や韓国の李明博大統領は、自ら相手国に乗り込んで巨額の商談をまとめてきたりしています。ベトナムの原子力発電所建設の受注をめぐっては、菅直人首相もトップセールスにやる気満々でした。
その首相が最近になって、原発輸出の見直しを打ち出したものだから、関係者は大あわてです。
まだ、最終契約には至っていないベトナムに対しては、韓国が猛烈な巻き返しに出始めています。初の原発建設をめざすトルコとのプラント受注の単独交渉も、東日本大震災後の日本側の事情で止まったままです。業を煮やしたトルコは、他国と交渉を始める可能性を伝えてきました。
「脱原発依存」という首相の「個人的」な発言のせいで受注に失敗すれば、兆円単位の損失になるかもしれません。「セールスマン失格」の首相は、責任をどのように取るつもりなのでしょうか。「今となっては、退陣だけではすまない。日本株式会社への背任行為に対して、損害賠償を請求したいくらいだ」と結んでいます。
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