同チームは、ケニアのサバンナに生息する野生のヒヒの行動を9年間観察しました。加えて125頭の雄ヒヒの糞を採取して、男性ホルモンのテストステロンと、ストレスで増えるホルモン、グルココルチコイドの値を測定しました。
アルファオスは、エサを食べるのもメスとの交尾も最優先で、一見うらやまい身分です。しかし、2位以下と比べて、敵対的な行動を取っている時間が17%長く、繁殖のためにメスとペアで過ごす時間も29%長いという結果でした。つまり、アルファオスは、トップの座を守るための抗争や、メスとの交尾に莫大なエネルギーを奪われて、心身ともに疲労困備していることを示唆しています。
糞から測定したデータを見ますと、男性ホルモンの濃度は序列に従って減り、ボスの繁殖力の高さを示しています。一方、ストレスホルモンの濃度は、ボスは2~8位よりも高く、最下位クラスのオスと同じレベルでした。ストレスホルモン濃度が最も低いのは2位のベータヒヒで、そこから序列が下がるに従って濃度が高まっていました。下位ヒヒのストレスは、ボスと異なり、食料にありつく苦労が、要因になるようです。研究チームは「動物社会のトップには特有の役得があるが、一般的に認識にされているよりはるかに高い代償も支払っている。人間も同じではないか」と結論づけています。
メスのヒヒのストレスレベルは序列に左右されないようです。地位が頻繁に変動するオスと異なり、メスは母親から受け継いだ地位をそのままキープし、ほかのメスに地位を脅かされるこももないからだといいます。
ここから、「長生きするなら、ナンバー2を目指せ!」というメッセージが読み取れると白澤教授は書いています。
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