2011年11月7日月曜日

南海トラフの地震跡調査

 東海・東南海・南海地震が警戒されている「南海トラフ」沿いでは、約200年間隔と約100年間隔の異なる2つの周期で地震が起きている可能性があるとする研究結果を、大阪市立大の岡橋久世氏(現・香港大学)ら研究グループが9月30日までにまとめました。グループは三重県で地層を調べ、これまで文献などで地震が確認されていない年代も含めて過去2400年間に十数回の津波によるとみられる堆積物を発見しました。

国は南海トラフ沿いの地震発生周期について、歴史記録を基に平均すると約110年間隔と想定しました。南海地震の30年内の発生確率を60%程度(今年1月現在)としていますが、グループの産業技術総合研究所の藤原治主任研究員は「2つの周期が繰り返しているとすると、発生確率を変える必要がある」と指摘しています。

堆積物は三重県尾鷲市の「須賀利大池」で採取しました。池の底から深さ約4㍍までの泥の中に、津波によると考えられる砂を含んだ15から16の層があるのを確認しました。年代の測定の結果、紀元前4世紀ごろから18世紀にかけての堆積とみられます。

これまで地震の記録がなかった13世紀前後の地層からも砂などの堆積物を発見。堆積物は11世紀以降では100150年間隔でしたが、11世紀以前は約200年。25世紀は100年間で、それ以前は再び200年間隔と、長めと短めの周期を繰り返しているようにみられるといいます。

南海トラフ沿いの地震は記録の残る684年の白鳳地震から18世紀までに7回起ったとされ、今回見つかった堆積物の年代も地震の発生年とほぼ一致しました。

津波と言えば、ついこの間も東大東海研究所が浜岡原発(静岡県御前崎市)について、津波が集中しやすい場所に立地していることを明らかにしたばかりです。浜岡原発の前面の海には、浅い海底が外洋に突き出すように約20㌔まで広がり、その先は急激にガクンと500㍍まで落ち込んでおり、海底の両側も急に深くなっているからです。こうなると、凸レンズを通った光が焦点に集まるように、浜岡原発のエレルギーが集中するといいます。

南海トラフ 東海沖から四国沖にかけての海底にある岩盤(プレート)とプレートの境界にあたる溝(トラフ)。海側のプレートが、陸側のプレートの下に沈みこんでおり、巨大地震の発生帯とされていなす。南海トラフ沿いでは、東海・東南海・南海地震の発生が懸念されており、今世紀前半にも発生の恐れがあります。過去には1707年の宝永地震など、3地震が同時、もしくは連動して起ったケースもあります。

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