村立小原中学校で同じクラスだった2人は、剣道部でも一緒でした。小西さんが思い出す当時の笹内さんは、自転車で山道をノンストップのまま駆け上がっていく姿でした。
「あのときから『レンジャー』やった」と、小西さんは、賞賛していました。
笹内さんの所属は陸上自衛隊大久保駐屯地(京都府宇治市)の第7施設群偵察班。9月3日深夜に十津川村野尻で村営住宅2棟が濁流に流されるなどの被害報告を受けました。9月4日午前2時、奈良県からの災害派遣要請に先立ち偵察班の班長として同僚と2人で村に向かいました。
村に通じる主要道のすべてが、大規模な土砂崩れで通行不能となる中、「あっこしかない」と浮かんだのが、少年時代に自転車で走り抜けた村道でした。
道をふさぐ何ヶ所もの倒木をノコギリで切断し、落石をどけ、出発から約30時間かけて村役場に到着しました。関係機関に自ら切り開いたルートを伝え、自衛隊などの救援車両が後に続くきっかけをつくりました。
笹内さんは、今も村に残り、行方不明者の捜索や孤立集落の救援活動のバッグアップを続けています。
十津川村は、死者5人、行方不明者7人という被害に見舞われ、川がせき止められて出来た土砂崩れダムへの警戒も続きます。校庭が救援・救助のヘリポートになっている母校の小原中で、笹内さんは「行方不明者を家に帰す」、小西さんは「にぎやかな村を再生させる」と誓い合いました。今回の災害で、自衛隊員の活動には、頭が下がります。
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