それでも人間は都合よく忘れてしまう。
畑村氏は、失敗の記憶には法則性があると指摘しています。「個人は3年で忘れ、組織は30年で途絶え、地域も60年で忘れる。歴史的な事象も300年で社会から消え、1200年たつとその出来事がおきたことさえ誰も知らなくなる」と語っています。
大震災以降、埋まれていた869年の貞観大津波が話題に上回るようになってきました。これまでも地震学者や考古学者は問題提起をしていましたが、東京電力は対応の必要はないとしてすべて却下してきました。都合の悪い事柄はなかったことにするのが、人間の本質です。
畑村氏は、「どんな産業分野でも十分な失敗経験を積むには200年かかると考える。米機械学会は、1942年にボイラーの危険度を引き下げた。産業革命以降、ボイラーの爆発で1万人以上が命を失ったと見られる。ボイラーが出現して約200年がたって、ようやく手に負える製品になった。
一方、原子力発電は始まってまだ60年しかたっていない」と指摘しています。
さらに、「日本が原子力を使わずに生きていけるとは思わない。世界銀行から借り入れまでして完成させた黒部ダム(黒部川第4発電所)の発電能力は34万㌔㍗程度だ。これに対して、原発は1基で100万㌔㍗を超えるものもある」と話しています。結果的にコストパフォーマンスがいいのが原発ですが、その分、危険と隣りあわせということでしょう。フランスなどは、あれだけの原発を稼動させ、ドイツに電力を売っています。しかし、事故の話は聞きません。ノウハウ、考え方が、日本とは大きく違うのでしょう。日本は、学ばねばなりません。
0 件のコメント:
コメントを投稿