2011年7月3日日曜日

大震災への寄稿(4)

 岡本氏は、「日本人の資質は素晴らしい。国の指導者は頼りなくても、現場の人々の対応能力は高い。行動も早い。被災地で瓦礫徹去が確実に進行しているのは、作業が現場に任されているからだ。世界中のどこも真似のできないスピードで進んでいる。

無数の感動的な人々がいる。福島原発の作業員、工場損壊した民間企業、東北新幹線を49日で開通させた人たち、被災地の市長、町長、漁業関係者、商工業者。『役に立ててうれしいです』と顔を紅潮させる自衛隊員。すべてを失っても他人を思いやる被災者たち。そして、全国から集まった延べ二十数万人のボランティアたち。若い人々に脱帽したい」と謙虚に述べています。わたしの友人の娘さんが、5月の連休を利用して9日間、石巻に入りました。スコップ、現場用の長靴、寝袋、水、食料、工具などを一切背負って。これをパワーボランティアというそうです。

日本人は、いったん方向が定まれば、ものすごいパワーを発揮します。だからあたらしい目標を早く作る必要があります。

福島原発事故の直後、米国は原子炉冷却措置の提供を申し入れてきました。しかし、日本は断わりました。政府部内の会議では、「受け入れれば米国にデータを盗られてしまう」との意見が出たといいます。まったくの島国根性丸出しです。

昨年8月、チリの銅鉱山で地下630㍍の坑道が落盤し、33人が閉じ込められました。チリは鉱山技術で世界のトップレベルにありますが、それでもピニェラ大統領は世界中に知恵と支援を求め、3つの国際救援チームが組成されました。これらのチームが競うように作業し、最終的にアメリカ・チリ合同チームが鉱夫たちを救出しました。

「日本人は、いったんマニュアルが作られれば、その実行能力は世界一である。しかし、マニュアルに書かれていない実態への対応能力は高くない。それを補うためにも、世界の才能と多様性を受け入れるべき。今度こそ世界から称えられる国家になろう」と岡本氏は、エールを送っています。

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