2011年5月20日金曜日

スーちゃんの死(5)

 スーちゃんが亡くなる直前に東北大震災の被災者に向けて音声を吹き込んでいましたが、途中で声も絶え絶えで気の毒でした。わたしが主人であれば、こういうことはさせないでしょう。安らかに眠らせてあげたいと思います。わたしは、死の淵を彷徨ったことがありますが、お花畑のようなきれいなところを歩いたりもしました。これは、多分、伊吹山の高山植物ではなかったかと思うのですが、わたしのような経験がある人は、同じような体験をしています。スーちゃんは、どうだったのでしょう。彼女の頭の中は、三陸の津波で無残に壊れた町の姿ではなかったでしょうか。死への旅立ちにあたっては、極力、いい夢を見させながら、この世と別れてほしかったものです。おそらくスーちゃんは、暗い東北の面影をこの世との別れに持ち込んだのではなかったでしょうか。

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