2010年4月14日水曜日

大菩薩峠の読破

 やっと中里介山の『大菩薩峠』を読み終えました。筑摩書房の文庫本でしたが、全20巻あります。中里介山が書き始めたのが、明治45年、28歳の時でした。20巻が終わったのが、昭和15年10月16日ということです。約28年かかったことになります。中里介山は、自ら世界で一番長い小説と書いています。しかし、この本は、完結していません。
 まず登場するのが、机竜之介で、大菩薩峠で巡礼の年寄りを理由もなく斬るところから始まります。次に、奉納勝負で宇津木文之丞を音無しの剣で殺します。前日、文之丞の妻、お浜が、竜之介のところに出かけ、勝ちを譲ってくれるように嘆願し、体も投げ出しますが、竜之介は、文之丞に勝ち、死に至らしめます。
 そして、文之丞の弟の宇津木兵馬が、仇討ちの長い旅に出かけます。竜之介は、新選組に入ったり、いろいろします。天誅組に加わって、失明もします。この小説には、いろんな人が次々に出て来て、主人公(?)の机竜之介と宇津木兵馬は、影が薄くなります。
 最後は、どういうオチにしようと考えているのか、分からないままに作者の方が先に亡くなりました。したがって、このあとを書き足した人も現れませんでした。
 この中里介山は博覧強記の典型のような人です。参考になるところをノートにとりましたが、かなりのページ数になりました。それだけでも、『大菩薩峠』を読んで良かったかなと思っています。
 結論として、この小説を勧めるか否かといいますと、難しいところです。今の小説を読みなれた人には、面白くないかもしれません。長篇小説では、北方謙三の小説が、ありますが、これとは、かなり違います。北方謙三の小説は、大衆小説という感じで、一気に読ませますが、中里介山のは、どういういったらいいのでしょう。わたしの場合、ほかの小説を読みながらでしたが、1年近くかかったように思います。20巻を読み終えたということで、自分の根気よさを褒めたいと思います。

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