2010年4月7日水曜日

西松建設献金裁判で、検察がマスコミに頼り、「天の声」を乱発で小沢攻撃(1)

 09年12月18日午後、東京地裁で、小沢一郎民主党幹事長の公設第一秘書の大久保隆規氏の政治資金規正法違反事件の第1回公判が開かれました。
 今年3月3日、この事件で、東京地検特捜部は、当時民主党代表だった小沢氏の公設秘書の大久保氏を逮捕し、3月24日、大久保氏を起訴しました。そして、この起訴を機に、メディアによって、小沢氏の責任問題が高まり、5月の連休明けには小沢氏は代表辞任に追い込まれました。
 一方、この事件については、当初から違反事件が成立するのかや事件の重大性・悪質性がどの程度あるのか疑問が残りました。また、自民党側の二階議員などを捜査の対象としないことへの不公平性が指摘されています。当時の漆間巌・官房副長官の発言や麻生太郎首相自身の国会答弁などもあって、政府与党側の政治的意図に基づく捜査であるかのように批判されました。
 そのような捜査に、国民が政府・与党と検察の権力の結託についての「不気味さ」を感じたことも、総選挙で自民党の惨敗、民主党の圧勝という結果の1つの要因にもなったと見ることも可能でしょう。
 このような経過を経て今回の第1回公判を迎えました。被告人・弁護人側は、公訴事実を全面的に争い、無罪を主張しました。一方、検察は、起訴事実の政治資金規正法違反についての立証に加えて、政治資金の寄付と公共工事の談合受注との対価関係を立証することによって事件の重大性・悪質性を強調しましたが、そこでの検察官の立証の在り方には重大な問題があると言わざるを得ません。
 この事件の争点は、大きく2つに分かれます。
 第1に、違反の成否、つまり有罪か無罪かという点にあります。問題にされた西松建設のOBが代表を務める政治団体名義の寄付についての政治資金収支報告書の記載が虚偽と言えるか、つまり、その団体が西松建設のダミーで実体がなかったと言えるかどうか、そして、虚偽であったとしても、それを大久保氏が認識していたかどうかがポイントになります。
 第2に、事件が政治資金規正法違反事件として重大で悪質なものと言えるのかどうかという点です。この点については、被疑事実とされている寄付の金額が過去の政治家の政治資金の事件と比較してわずかであったことから、強制捜査を行うほどの事件であったのかどうかが問題となりました。
 見過ごしてはならないのは、昨年の5月に開始された政治資金の寄付者の西松建設の國澤幹雄元社長らの公判の経過と、判決の内容です。経営上の問題から株主総会前の早期の裁判終結を望んだ西松建設側は、公訴事実をすべて認め、検察側の証拠請求にすべて同意して、執行猶予付きの有罪判決が言い渡されました。
 この公判で、検察側は、西松側が「全面降伏」の状態にあることに乗じて、寄付が小沢事務所の出す「天の声」による談合受注の対価であるかのように供述するゼネコン関係者の供述調書などを証拠請求し、受注工事一覧表まで示して寄付が公共工事の談合受注の対価であったことを主張しました。
 しかし、判決は、寄付の動機については、「公共工事の受注業者の決定に強い影響力を持っていた岩手県選出の衆議院議員の秘書らと良好な関係を築こうとして平成9年頃から行ってきた寄付の一環」との認定にとどめる一方、寄付が「特定の公共工事を受注できたことの見返りとして行われたものではない」と判断して、寄付と公共工事の受注との関係を明確に否定しました。
 つまり、上記の第2の点については、検察側の証拠が最大限に採用された西松側公判の國澤元社長に対する判決の中においても、起訴事実の政治献金が公共工事の談合受注の対価だから重大・悪質だという検察の主張は裁判所によって否定されているのです。(記事は、大部分をElectoronic Journalを参照しております)

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