2010年3月10日水曜日

ウイルコムの再建話(2)

 以前にPHSを今後、どう持ってゆくのかをDDIポケットの幹部に聞いたことがあります。「今後、どう生き延びていきますか」という問いに、「携帯電話が、ジェット旅客機とすれば、PHSはプロペラ機です」と答えてくれました。そのときは、「なるほどな」と思ったものです。このジェット機の時代になっても、プロペラ機はなくなっていませんし、これからも存続するでしょう。PHSも新規の設備投資をせず、これをメンテナンスしながら、工夫をしていけば、400万人以上のユーザーがいますので、やっていけるだろう。端末も親会社が京セラなので、供給してくれるでしょうし、中国からいくらでも、安くて買って来られるので、細々とはいけるかもしれないと思ったものです。
 わたしは、別にウイルコムのトップに提案をしたことがあります。「日本のPHSは中国と組まないと、うまくいかない。まずは、日本と中国の北京、上海とローミングできるようにしなさい。そのためには、弊社が、手伝ってもいい」と言ったのですが、残念ながらこの提案には、乗って来ませんでした。中国には、1億人のPHSユーザーがいたのです。代わりに次世代PHSに走りました。
 そして、その後もNTTコムなど様々な会社へDDIポケットの譲渡を試みましたが、うまくいきませんでした。このため、2005年2月、親会社のKDDIが株を放出し、新たな資本金を500億円(?)とし、これをカーライル(60%)、京セラ(30%)、KDDI(10%)が出資することになり、今日まで来ています。ウイルコム設立当時、DDIポケットのユーザーは300万人ほどおり、売り上げも2000億円程度あり、通信設備の資産だけでも2000億円はあるので、カーライルは、うまい買物だと思ったでしょう。(明日へ)

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