先のブログで述べたことは、そう単純ではありません。今の重慶市委書記の薄熙来氏は、第17期中共中央政治局委員で、父は副総理などを務めた薄一波氏です。1949年7月生まれですので、60歳になります。
文化大革命では、紅衛兵組織「連動」のメンバーでした。1978年2月から1979年9月まで北京大学歴史学部で、1年間だけ学習し、学位取得しています。1980年10月中国共産党入党。1982年には中国社会科学院を卒業し修士号を取得しています。
1992年から大連市長を務め、海外企業を招致しました。経済成長も目覚しく、この功績で、2001年からは遼寧省長を務めました。しかし、省内の国有企業の多くが停止状態になり、失業率は全国最高となりました。よく日本のテレビでも首に求職のカードをぶら下げた人たちが報道されました。2004年には、商務部部長として国務院入りしました。しかし、2006年から中国製品の品質に相次いで問題が生じ、安全宣言を何度も出すこととなりました。
そういう中でも、薄熙来氏は順調に昇格し、2007年10月には、第17期党中央政治局委員になりました。そして、12月、重慶市委書記に就任。2009年7月より市公安局などを巻き込んだ大規模汚職事件の摘発に乗り出し、1500人以上を摘発しました。
これは、単純な汚職摘発ではなく、前重慶市委書記の汪洋氏や、かって書記を務めた賀国強の批判が目的ともいわれています。汪洋氏は、2005年から2007年12月まで重慶市委書記と務め、現在は、中国共産党中央政治局委員で、広東省省委書記となっています。中央での出世レースから、いつのまにか逆転された感がないでもありません。1999年から重慶市委書記を務めた賀国強氏は、曾慶紅のあとを受けて中国共産党中央委員組織部長を務め、2009年からは、呉官正の後任として、中央紀律検査委員会書記となっています。江沢民前主席を支えとぃます。賀国強氏の福建省長のあとを受けたのが、現在の副主席の習近平氏です。汪洋氏、賀国強氏、習近平氏らは、江沢民派で知られています。先の文強の汚職は、今から16年前からですので、汪洋氏、賀国強氏二人も関わっていた、もしくは管理責任があるということになります。中央委員のポストを狙って、熾烈な競争が行われているとも言えます。薄熙来氏は、最後のチャンスに賭けたともいえます。習近平氏も副主席になったとはいえ、今後何が起こるかは、余談を許せません。一寸先は、闇です。中国の出世競争も大変です。こういう熾烈な競争に鍛えられた国の幹部ですから、外交その他で日本の大臣や官僚を手玉にとることなど朝飯前でしょう。
話し変わりますが、薄熙来氏の現在の妻の谷開来氏は、弁護士として北京で法律事務所所長を務めています。 彼女との間に長男の薄瓜瓜がおり、2009年10月現在、イギリスのオックスフォード大学政治哲学部に留学中で2010年卒業予定です。完全な英才教育です。
薄熙来氏は、離婚歴があり、前妻との間に李望知という一男がいます。李は北京大学法学院で学び、さらにアメリカのコロンビア大学に留学しています。
中国共産党で出世しようとすると、血も大事なようです。太子党という言葉が出来て久しくなりますが、まだ死語にはなっていないようです。
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