2009年12月7日月曜日

関西の空港問題(4)

 国際空港としての関空、成田、中部の有利子負債を比較してみますと、なんと関空は圧倒的に多いのです。埋め立てたところに建設したこともあるのでしょう。本来、海ですから、漁業権を除いては、ただのはずですから、土地の買収費用は、一番安く出来たはずです。ところが、3港を比較しますと、有利子負債は、関空が1兆1200億円、成田がその半分の5540億円、最近出来た中部空港は、2890億円と4分の1程度です。なぜ、関空がこうも高額の費用がかかったのでしょう。明確にする必要があります。これは、民主党政権でなければ出来ません。水谷建設、西松建設よりもはるかに大きな資金が動いているはずです。
 また、関空は発着回数が減る一方にあります。今年の4~9月は、5万6049回で、目標の11万4000回の達成は、難しい状況です。旅客数も669万7000人で18%減少になる予想です。
 こういうじり貧の関空に伊丹空港の運営も任せようというのですから、謝った判断です。たしかに事業仕分けで、160億円の補給金は、打ち切られる可能性は、出て来ましたが、経営者として「なにくそ!」という意気込みはないのでしょうか。たしか、関空会社の社長は、歴代パナソニックのOBだったはずです。現役時代の叡智とバイタリティを発揮してほしいものです。離着陸料ももっと下げていいでしょう。
 日本は、国際会議の開催件数が非常に少ないのです。日本でもっとも多い東京ですら約60件です。シンガポール130件、香港80件です。パリは250件、ロンドン200件、ニューヨーク90件です。これは、もっとも安上がりな旅行客を呼ぶやり方です。残念ながら、大阪府では会場はどこだろうかと探さねばなりません。大阪は、相場の発祥の地です。今は、ロンドン、ニューヨークが発祥の地のような顔をされていますが、相場の学会でも大阪でやればいいでしょう。
 ただ、いかんせん、観光地に遠いというのが、最後は、ネックになるでしょう。3空港の一元化を議論する方は、リムジンバスなり、鉄道に自分のお金を出して乗って下さい。東京などで椅子に座って出る結論ではありません。夜、顧客と一緒に関空に着き、そこからバスなり、鉄道で大阪市内に向かいますが、真っ暗な工業地帯です。昔の北九州工業地帯のような活気はありません。これから向かう大阪は夢のある都市には、見えないのです。バスか、電車に乗って、大阪市内に向かうとワクワクするような高揚感がほしいところです。ここであれば、ビジネスのネタがあるだろうと思うような仕掛けが欲しいのです。和泉の街中を走ってもありません。大阪に着いたら、翌日、新幹線で東京です。京都、名古屋を抜けて、田園地帯を走り、しばらくすると、富士山が歓迎してくれます。この高揚感。東京に行くと、きれいな富士山のイメージがまだ残っており、うまくいきそうな感じになります。
 関空から大阪に向かうのは、たしかにリニアカーを使って、あっという間に着くというような先進性のイメージを定着させることも必要なのでしょう。時間の短縮も必須です。しかし、高い資金をかけてリニアカーを走らせても、電車賃が5000円、1万円では、乗りません。
 JALの経営が問題になり、ANAも赤字になりましたが、1便当たりの乗客数は、羽田はもっとも多いのです。230人です。ヒースローの100人、フランクフルトの100人、ドゴールの70人、JFKの60人に比べても圧倒的に多いのです。これは、日本の航空会社も機体を小さくして、便を増やしたいのでしょうが、空港の離着料が高いために機体を大きくせざるを得ないのでしょう。ANAはJALとともに空港の発着料の引き下げを国交省に申し入れようとしましたが、JALが腰が引けたようです。
 また、首都圏の人口も日本は3200万人ですが、ロンドンは1700万人、パリが1050万人、ニューヨークでも2000万人と東京は有利なのです。日本は、まだまだ工夫をすると、隣の韓国にも負けないハブ空港が作れるはずです。JAPAN is No.1の時代をもう一度作り上げませんか。わたしは、100歳まで現役でがんばるつもりです。今、中国の経営者にも、経営理念の大事さを伝えています。ただ、安く売る、儲かる、いい生活ができるといった物質面のみを追わせると皆、悲劇になります。「坂の上の雲」が始まりましたが、明治人の向上心と謙虚さを持ちたいものです。

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