2009年11月28日土曜日

JALの企業年金積立不足

 JAL再建の最大の問題が、企業年金の積立不足になっています(本当は、もっと本質的なところに問題があるのですが)。新聞の報道によれば、3000億円の積立不足で、こういう状態に対して、公的資金を投入すると、この年金不足の方へ回されかねないので、JAL OBの人は、30%カット、現役社員は、50%カットと言われています。年金額の圧縮については、パナソニックなどでも裁判で争われています。今回のJAL OBが不利なのが、このままいくと会社が倒産しかねないことです。このまま、放置されますと、間違いなく倒産します。損金の方が、資産よりも多いのです。先の再建グループは、銀行からの借入金の圧縮を銀行団に求めましたが、あっさり断られました。銀行団もJAL OBも会社が破産しますと、管財人が処理します。JALのように借り入れ超過ということは、銀行団やJAL OBに払える金がないということになりかねません。JAL OBの多くが、企業年金のカットに反対していますが、普通の年金生活者からみますと、それでも恵まれています。在職中も高給に恵まれ、退職後も高企業年金に恵まれていたのです。あのGMの労働組合ですら、年金の大幅カットを承諾しました。ここは、JAL OBも呑まざるを得ないでしょう。会社が好調なパナソニックの場合は、企業年金のカットはなかなか難しいと思うのですが、会社の経営をおかしくするとして、カットをOBに通知しました。人間、ある程度は“足るを知る”ということも必要に思います。JAL OBにとって、JALが倒産すると悲劇です。年金カットに反対などと言っておれません。どうもチキンレースをやっている感じです。両方、突っ張って、ドボンということになりかねません。
 ところで、7月15日の日経によりますと、3月末で企業年金額の巨額の積立不足のところがあります。主要上場企業の積立不足額は、総額13兆502億円になっています。03年3月期の20兆8191億円以来6年ぶりの高水準でした。昨秋以降の株価の急落などで、年金資産が大幅に減ったためです。
 先のJALの企業年金もどのような運用をしていたのか、報じられていませんが、利率を4.5%を約束しているというのも信じられません。このあたりが、JALの経営陣の甘さが露出したのでしょう。
 企業年金の積立不足の多い10社は、次のとおりです。単位は、億円です。
 1.日立製作所  ▲6,866
 2.NTT  ▲5,763
 3.東芝  ▲5,446
 4.ホンダ  ▲4,566
 5.パナソニック ▲4,186
 6.三菱電機  ▲4,039
 7.富士通  ▲4,001
 8.トヨタ自動車 ▲3,929
 9.NEC  ▲3,483
 10.日本航空 ▲3,314
 株価が回復すれば、かなり不足金額は減るのでしょうが。手っとり早いのは、日本銀行に国債を買わせ、その金で株を買うのです。円高の時に多額の資金でドル買いをしましたが、20兆円も投入すれば、株価は上がり、年金の不足額は、ケリがつくでしょう。わたしに運用を任せてくれたら、みんなをハッピーにしてあげます(笑い)。

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