「この問題を追及しているうちに、内部告発があり、役員に問いただすと、『H20ダム湖堆積物など調査分析業務 地質調査・分析結果報告書』なるものが出てきました。
この資料には八ツ場ダムの上流にある品木ダムの湖底の堆積土のヒ素濃度が記されています。最新データ(2009年)では最高値は1㌔当たり5.3㌘。環境基本法に基づく土壌環境基準の350倍でした。
八ツ場ダムが建設される吾妻川は、強酸性の水質で「死の川」と呼ばれ、このままだとダムを造ってもコンクリ-トが溶けてしまう。そこでダム官僚は、46年前から川の中和作業に乗り出しました。
吾妻川上流の湯川に石灰を投入することにし、そのために品木ダムを造ったのです。国交省が作る品木ダムの定期報告書には中和作業によって、ダム下流の湯川にイワナやヤマメが確認できるようになったと誇らしげに書いてあります。その一方でダムにはどんでもないヒ素がたまっていましたというわけです。昨年8月に開かれた吾妻川水質改善対策検討委員会の資料にも89年の計測値しか出てきません。当時のヒ素汚染度は今の半分で、意図的な汚染隠しと言うしかないと保坂氏は語っています。
これが八ツ場ダムにどういう影響を及ぼすのでしょうか。
「品木ダムはいまや、大量のヒ素貯蔵庫になり、堆積土はダムの容量を超えてしまった。そこでダム湖の湖底をパワーショベルで浚渫し汚泥を周辺の山間に捨てています。当然、上流の品木ダム周辺に堆積したヒ素が下流の八ツ場ダムにもたまっていくだろう。問題はこうした状況が地元住民にまったく知らされなかったです。
ダムは首都圏の利水にも有効とうたっています。ヒ素は大丈夫なのでしょうか。マズイと思った国交省は数字をヒタ隠しにして密室で議論をしていたようです」と保坂氏は語っています。
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