2008年11月28日金曜日

平塚市神田高校長の更迭

 神奈川県平塚市の県立神田高校で入試のときに服装や態度がおかしい受験生を試験の成績は合格ラインに達成していたのに不合格にしていました。このことを神奈川県教育委員会は1028日に公表し、111日付けで淵野辰雄神田高校長を県立総合教育センター専任主幹に異動させる人事を発表しました。県教委などには1300件を超える意見が寄せられ、その9割以上の人が「校長の判断は正しい」などと前校長を擁護しています。さらに同校のPTAや卒業生がJR平塚駅で署名活動を行い、3000人以上の署名を集めました。そして、松沢成文県知事と山本正人教育長に嘆願書を提出しました。しかし、県教育委員長はこの更迭の決定を変えるつもりはないと頑なに拒否しています。松沢知事は、わたしの知るところ何のコメントも出さず、行動も起こしていません。

 この件は、多くの方が、テレビや新聞での報道でよくご存知のことと思います。以前の神田高校は校内に飲食物が散乱し、喫煙やいじめ、盗難などが絶えなかったそうです。近くの公民館やコンビニなどには、「神田高生の立ち入り禁止」の張り紙が張られ、バスにも乗せてもらえなかったこともあったそうです。中退者は全校生約350人に対し、年間100人もいました。それが、平成15年になると変化の兆しが見えて来ました。学校と生徒・保護者の緊密な連絡と親身な対応、ゴミ拾いを兼ねた校内の見回り、部活動・同好会の奨励、学校便りの地域での回覧などを行い、PTAや地域もこれに賛同し、教職員とともに取り組みました。その結果、校内からゴミが消え、地元の警察も舌を巻いたそうです。淵野前校長は生徒と食事をともにするなど率先して指導に取り組みました。全校生の顔と名前も覚えているといいます。今回の問題になった入試での身なり調査も学校立て直しの中で平成17年度から始めました。もっと時間がかかったのかと思っていましたら、割と早く結果が出たようです。県教委への説明では、淵野前校長は「ピアスや金髪、丈の長いスカートなど『この高校に入りたくない』という態度を前面に出してくる生徒をなぜ入学させねばならないのか」と話したそうです。しかし、県教委からの公にはなっていないようです。マスコミの大騒ぎのせいで慣れない県教委は早過ぎる更迭を決めたように思われます。渡辺美樹・ワタミ社長は県教委の教育委員を務め、「淵野前校長は非常に頑張ってくれ、みるみるうちにいい学校にしてくれた」と高く評価したものの更迭には、何の力にもならなかったようです。

 たしかに1日か2日の高校入試の成績と中学から送られる内申書では、本人のことはよく分かりません。今の内申書は情報公開請求で開示されるようになってから、99分、生徒に都合のいいことしか書かれなくなったと言います。そうなると、淵野前校長が行った入試での服装チエック程度は仕方がないように思います。

 淵野前校長らが問題ありとしたのは、眉を剃っている、髪を染めている、爪が長い、服装がだらしない、ズボンを引きずっている、スカートが長い、胸ボタンが外れているなどだったようです。これらをチエックすることは当然のような気がします。高校に送りこむ中学では、どういう教育をしているのでしょう。中学でも、この淵野前校長のような情熱と度胸のある先生がいれば、随分変わるように思います。実は、今は、幼稚園の教育から問題だそうです。モンスターペアレンツのいる時代ですから、大変です。こういう親がこどもの躾や教育ができているようには思えません。こういうわたしもあまり大差ないように思いますが、まあまあの教育はできたようには思います。

 さて、この淵野前校長更迭にどう裁きをつけるのか。山本正人教育長は「この決定を変えるつもりはない」と答えています。淵野前校長を復職させるには、松沢成文県知事と神奈川県議会が、まず山本正人教育長を辞任させ、淵野前校長が赴任させられた県立総合教育センター専任主幹に任命します。次に教育長の後任に淵野前校長の前の神田高校長に任命します。そして、淵野前校長を神田高校長に復職させます。一番困るのが、山本正人教育長のような解決策をもたない人に権限を与えることです。こういった人物は、学校改革のような底辺の仕事を軽んじ、軽蔑し、自らの手を染めようとはしません。山本正人教育長を神田高校の校長にさせればと思ったのですが、こういう人は出来るはずがなく、途中で投げ出し、あとに大きな禍根のみを残します。是非、淵野前校長のような実績も情熱もある人が教育現場でますます力を発揮していただき、その輪が広がることを期待したいものです。

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