海上保安庁の鈴木久泰長官(57)は、この事件の発覚直後、「(ビデオは)厳重管理している」と自信マンマンでしたが、海保関係者の“犯人説”が濃厚になるにつれ、強気の発言はしっかりナリを潜めてしまいました。一体どんな人物なのでしょうか。
「東大法学部卒で、75年に旧運輸省に入省。宮崎県に出向し、復帰してからは運輸・航空部門の経験が長い。趣味はテニスと囲碁だが、あまり目立たないタイプで、頭角を現すようになったのは、関西国際空港の課長として、整備事業を担当してからです。その後、次官に上り詰める岩村と歩調を合わせる形で航空局次長、航空局長と出世していきました」と国交省の担当記者は、答えています。
国交省の航空局といえば、空港整備特会を使い、デタラメな需要予測をもとに無駄な地方空港をドンドン造ってきた悪しき「日の丸行政」の代表格です。「鈴木もそんな、“日の丸体質”を引き継ぎ、開港前から赤字予想の静岡、茨城空港の整備を強員に進めた張本人と報じられています」と航空ジャーナリストは語っています。
08年、国交省の外局である海保に横スベリ。幸せな官僚人生を全うし、後は天下りを待つだけの身でしたが、因果応報か、最後にスッ転んだというわけです。
「鈴木長官の危機意識の低さは、国交省局長時代にもエピソードがある。07年8月、400人余りの乗客を乗せたJAL機が、グアム上空で、米軍戦闘機の追尾を受け、衝突防止装置の回避指示が2度も発せられる緊急事態が起きました。ところが、国交省が米側に事実関係の報告を求めたのは、1ヶ月も経ってから。一歩間違えれば大惨事という危機感を全く抱いていませんでした」と先の航空ジャーナリストは語っています。
尖閣諸島沖の中国船衝突を撮影したビデオ映像が流出事件で、警視庁捜査1課は11月10日、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで、第五管区海上保安本部(神戸市)の男性海上保安官(43)を事情聴取し、調べていますが、どうやら逮捕には踏み切らないようです。
海上保安官は巡視船「うらなみ」の主任航海士。ネットへの流出が発覚した11月4日は公休日でした。
海保関係者によると、海保のコンピューターネットワークは、アクセス権があれば情報の送信元や送信先以外でもデータを入手でき、映像を撮影した石垣海上保安部や本庁以外のパソコンからもデータを入手できた可能性があるということです。海上保安官が自らの関与を認めたことを巡って海上保安庁の鈴木久泰長官の辞任が不可避の情勢となっていますが、仙谷由人官房長官は10日の記者会見で、辞任は避けられないとの考えを公けに示しました。
0 件のコメント:
コメントを投稿