2010年12月9日木曜日

平成遷都1300年物語(4)

 役人の借金証文

 正倉院の古文書には、百通近い役人たちの借金証文もしっかり残っています。官人の勤務形態ですが、常勤職員である職事官と非常勤職員である分番がある。下級役人は一般的に分番で、年間120日以上勤めないと季禄が支給されませんでした。さらに140日出勤しないと、昇進資格が与えらませんでした。

驚くことは、勤務評定の形式もしっかり定まっていたことです。毎年「上・中・下」の三段階で評定がなされ、そして6年間ごとにその平均値が出され、「中」以上であれば、翌年には官位が一段階あがる。

こんなペースですので、下級役人が生涯かかっても貴族になれませんでした。しかし、特別な方法で昇進を早くすることができました。一つは外国へ行くことです。高句麗へ派遣され、二段階特進したケースが判っています。もう一つの方法は官位を買うことです。和同開珎をたくさん貯めて、それを朝廷に献上したり、土地を寄進するなどして、官位をもらったケースはいくつも記禄に残っています。

この一方で、生活が苦しくて借金を重ね、逃亡する官人も後を絶ちませんでした。いつの時代も底辺に働くひとたちは、大変です。

0 件のコメント: