2010年1月13日水曜日

麻薬密輸の英国人の死刑執行

 麻薬密輸で逮捕されていたパキスタン系英国人のアクマル・シャイフ死刑囚が、29日に死刑執行されました。ブラウン英首相も直接、温家宝首相に電話をかけて死刑執行を延期すること、精神鑑定をすることを要請しました。駐英中国大使にも死刑の執行の停止を求めましたが、「中国の司法制度は政府から独立している。麻薬所持は50グラムでも死刑だ」として、死刑は妥当との見解を出しています。事実、中国では、日本人男性4人を含むアジア、アフリカ国籍の十数人が麻薬密輸の罪で死刑判決を受けています。
 シャイフ死刑囚は2007年9月にタジキスタンから新疆ウイグル自治区のウルムチ空港に到着した際にスーツケースにヘロイン約4キロを所持しているのが見つかり逮捕されました。本人は「中国で知り合った男からスーツケースを渡された。中身は知らない」と話しています。08年10月に地方の裁判所で死刑判決を受け、控訴しましたが、棄却され、09年10月に死刑が確定しました。中国で欧州の市民に死刑を執行したのは、1951年以来ということです。
 今回の事件では、英政府が中国の司法に口を出そうとしたという印象を中国国民に与えたようです。嘆願という態度ではなく、強要という態度に見えたのかも分かりません。外交上手といわれた英国にしてもこの結果です。わたしも思い起こしましたが、中国には、アヘン戦争という屈辱的な歴史があり、「中国はもはや英国の植民地ではない」という報道もあったようです。そういう歴史認識が、加害者であった英国にはなかったのかもしれません。
 これが、日本だったらどうでしょう。日本では、麻薬では死刑にはならないようですが、死刑の判決を受けたひとの死刑の執行をやめろと海外から言われた時に毅然と執行できるでしょうか。麻薬は、社会の害悪ですので、日本ももっと厳しくすべきでしょう。これほど氾濫させているのは、法に甘さがあるからかも分かりません。
 今回の中国の態度には、麻薬は絶対に中国に持ち込ませないという毅然な態度が出ていました。英国政府ももっと下手に出ていれば、死刑執行はこれほど急いでやられなかったかもしれません。
 オーストラリアには、日本人で、ツアーに参加し、ひとに頼まれたスーツケースを持ちこもうとして、逮捕され、終身刑もしくは無期懲役になっている人がいます。このひとは、ほんとに頼まれただけのようでした。外務省が動いてもまったくダメでした。現在も服役中です。軽い気持ちでスーツケースや荷物を預かると、非常に危険です。入国の時には、絶対にひとからものを預かってはいけません。
 

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