2009年1月29日木曜日

ハドソン川に旅客機不時着

 少し古いニュースになりますが、羽田から飛び立つときや、関空から飛び立つときに大丈夫かなと思うことが多くなりました。鳥がエンジンに巻き込まれないかなということです。エンジンタービンは、細かい歯が精密機器のようにびっしりと並んだ感じです。ハドソン川にUSエアウエイズ機1549便が不時着したのは、15日午後(日本時間16日未明)でした。ニューヨーク州ラガーディア空港を飛び立ち、ノースカロライナ州のシャーロット空港に向かいましたが、離陸して3分後に水鳥がエンジンに飛び込み、推進不能になりました。ニュージャージーの空港まで飛ぶという選択もあったのでしょうが、機長はハドソン川への不時着を決断しました。ハドソン川はニューヨーク州とニュージャージー州の間を流れる川です。この日はこの冬一番の冷え込みで、気温はマイナス8度でした。不時着直後は、機体の上半分は浮いていましたが、1時間後には川底に沈みました。もっと早く沈んでおれば、凍死者も出たことでしょう。乗客は主翼を伝い歩くなどして、155人全員がフェリーなどに無事救助されました。皆が「機長の対応は見事だった」、「ハドソン川の軌跡」と称賛しました。機長は乗客の脱出後、残った人がいないか確認のために沈みゆく機体の通路を2回行き来したそうです。ハドソン川はフェリーの往来も多いと思うのですが、よく衝突しなかったものです。「金融危機で重苦しいムードが漂う米国人の心に希望をともした」と記者は書いています。
 機長は40年以上の経験を持ち、飛行時間1万9000時間のベテランのチェスリー・B・サレンバーガー3世(57)でした。わたしは、毎週2回は飛行機に乗るのですが、若い機長の機内アナウンスを聞くと、ドキドキします。案の定、着陸の時にガタンと落ちたりしますと、やはり経験不足かと思ったりします。また、航空機事故でいつも思うのは、機長の対応です。昔、羽田沖に日航機が不時着したときには、乗客よりも先に機長がゴムボートに乗り込んでいることがありました。
 日本でもこういう事故がないのでしょうか。関空でもエンジンが鳥を巻き込む、いわゆる「バードストライク」は、過去3年度のデータで平成18年度7件、19年度13件、20年度(1月16日現在)18件と毎年増えているのが気になります。幸いにエンジントラブルによる引き返しなどにはつながっていません。排除対策としては、航空保安協会の職員2人が毎日5回、巡回する際に散弾銃による発砲や花火、プロパンガスによる爆発音、天敵となる鳥の鳴き声を流したりしています。しかし、鳥も慣れてくるためか、決定的な排除方法がないそうです。
 しかし、この飛行機に乗り合わせた人たちは、やはり運がよかったのでしょう。こういう冷静な判断のできる機長は、少ないように思います。

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