東京大海洋研究所の研究チーム(木村伸吾教授)が、海水温とクロマグロの稚魚の生存率を調査しました。その結果、現在の海水温と同じ26℃では、3日以上経過しても7割近くの稚魚が生きていましたが、29℃では1日で半数が死滅、2日以上経過するとほとんどの稚魚が死滅しました。
また卵の孵化率にも温度が大きく影響します。26℃から28℃では、ほぼ100%孵化しましたが、29℃では約8割、30℃では約7割、31℃では約半数しか孵化しませんでした。今後、日本近海の水面温度が2~3℃上昇すれば、クロマグロの稚魚が育たない環境になる恐れがあります。
クロマグロの産卵は毎年5~7月にかけて、太平洋一帯から沖縄南方の海域に集まって一斉に行われます。木村教授は海流が少ない海域を“クロマグロのゆりかご”と呼びます。流れが停滞するので、遊泳能力のない稚魚でも流されることがなく、プランクトンを捕食しやすい。外敵も少なく稚魚の育成の育成に適しています。
海水の温度が上がると、涼しい海域に産卵場が移る可能性もありますが、海流などがぶつかれば“ゆりかご”の機能がなくなってしまいます。クロマグロは、身が引き締まっておいしいゆえに
食通の舌鼓を打たせます。クロマグロもなかなかのんびり回遊させてくれないようです。海にも保護海域をつくらないといけないのかも分かりません。
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