2009年1月14日水曜日

伊那食品

 9日の日刊ゲンダイという夕刊紙を見ていますと、伊那食品工業(非上場)というユニークな会社を紹介していました。資本金は、1億足らずの9680万円です。売上は、2007年で174億円。創業は、1958年で決算期50年のうち、48年が増収増益です。どういう会社かと言いますと、寒天の製造販売会社です。現在の健康ブームもあって、よく売れ、国内シェアも約8割。社員は405名で、男性203名、女性202名です。会長の塚越寛氏(71)がユニークな方のようです。経営方針は徹底した「家族主義」です。会長の発言やエピソードについて、まとめますと、
1.100年カレンダー
 社員研修で使用。社員に「あなたのなくなる日も会社は必ずある」と語りかけ、働く意味、生きる意味を考えさせます。
2.人件費は削減すべきコストではない
 人件費は、幸せを求めて働く労働の対価だと考え、人件費=コストという考え方に疑問を呈しています。
3.売上の目標設定は一切しない
 若い世代にのびのびと自由に働いてもらいたいので、目標は課さない。その代わり、マナーや礼儀作法を重んじ、社員教育に力を注いでいます。
4.社員に残業させてまで、会社を大きくしたくない
ダイエットブームで同社の寒天に注文が殺到したときも社員に無理を強いないために増産しませんでした。
5.遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す(二宮尊徳)
 企業にとって重要なのは永続。短期的に高い売上高を追い求めて収益を上げても、長続きしなければいい会社ではない。
6.決算は3年に1度くらいでいい
 会社が長く続くには、四半期ごとに決算を出すのは無理があります。
 今、流行の経済理論からゆくとかなりはずれているようです。しかし、実績もすばらしく、この不況にもビクともしないようです。会社が株主だけのものではないということを徹底するには、上場しない方がいいのかも分かりません。サントリーのところでも書きましたが、もしサントリーが上場企業であれば、ビールをあれだけ赤字で続けることはできなかったでしょう。竹中氏、村上氏のような株主至上主義は、人間性からは随分離れており、少なくとも社員に幸せはもたらさないようです。よくタクシーに乗りますが、運転手が年金を貰っている人がほとんどになりました。これもタクシーの規制緩和でタクシーが増えたためです。収入が、非常に少ないのだそうです。儲かるのは、経営者と株主だけになってしまったようです。これも小泉・竹中の誤った規制緩和施策のためです。人件費を固定コストと考えるために派遣社員が増えました。製造業まで派遣社員を適用したために技巧も社内に残らなくなりました。長期的には、大きなマイナスです。もう少し働く人の視点が必要なのではないでしょうか。
 残念ながら、伊那食品は、中途採用は行っていません。また、新人採用も終わっています。

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