2012年8月5日日曜日

ジョン・ウェインはなぜ死んだか(24)

 西暦2000年には、現在パンクしようとしている量の10倍の廃棄物が、アメリカ全土に存在していることになります。ウェスタンに埋められない場合に備えて、太平洋に投棄する計画が一方では進められ、アメリカの調査船が日本近海の候補海域を走りました。

原子力発電所から生産されている死の灰は、1985年現在、1年間で広島原爆の2万発分であるといいます。セント・ジョージに大災害をもたらした大気核実験の死の灰が、B期間中にほぼ100発であったことを思い合わせれば、さらにその200倍を超える死の灰が、わが国だけで年ごとに生産され続けていることがわかります。

過去の累積量と、これからの累積量を足し算すれば、西暦2000年には天文学的な量に達する。わが国は有数の火山国、地震国である。想像すると恐ろしい数字になると書いています。この本は、昭和571982)年12月に刊行されたものです。この頃から、広瀬隆氏は警鐘を鳴らしていました。
敦賀の事故では、この廃棄物が大量に漏れました。チャリャビンスクと同じような汚染地帯が生まれるのは、これら数字のうえから当然考えられることです。しかし、この程度の廃棄物漏れは、どこの発電所でも致し方のないもの、安全な量であり、人体に無害、と新聞には書かれていると書いています。こういう危険性があるのもかかわらず野田首相は、「ゴーサイン」を出しました。無知無謀にもほどがあります。
廃棄物漏れのほかに、運転中の原子炉が大事故を起こす可能性もあります。その時には、広島原爆1000発分に相当する死の灰――B期間のネバダ核実験を10回再現した量――が1度に、1ヶ所からあふれ出るといいます。

原子力規制委員会(NRC)がおこなってきた研究によれば、大事故についてのこれまでの計算は2桁の過小評価をしてきたことが明らかとなりました。“原子炉を20基かかえる国では、最悪の場合わずか10年以内に、遅くとも30年以内に、大事故によって死の灰があふれ出す”可能性を持っていると広瀬氏は書いていましたが、福島原発では、まさに起こりました。

2枚の地図があります。。1枚は、問題のウェスタン3州のものです。もう1枚は、1985年現在のわが国の“原子力発電所”の所在地()と予定地()および、“放射性廃棄物”の埋め立て予定地()を示しています。答を出すには、2枚の地図を重ね合わせなければなりません。

風下住民の癌に対して、アメリカの政府は10人に合計260万㌦(6億円)の賠償金を支払わなければならなくなりました
ユタ州連邦地方裁判所が、ついに核実験の被害を認めたのです。しかし、何十万人にものぼる被害者を代表した原告24人のうち、認められたのは半数に満たない10人でした。それでもこれは、世界で始めて裁判所が“核実験と癌の因果関係”を認めた画期的判決でした。

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