2012年8月19日日曜日

世論調査は世論操作

 今回、『週刊ポスト』が調べたところ、世論調査をこの半年間で読売が12回、次いで朝日が11回。産経、毎日、日経も7回程やっていて、大手紙だけに限っても実に4日に1度、どこかが調査を行っている計算になります。
今はコンピューターがランダムに選んだ電話番号をもとにオペレーターが電話をかけて調査します。
固定電話の番号ですから、あまり家にいないサラリーマンや若年層は有効回答から除外されやすいと思われます。そもそも、ひとり暮しの若年層は、固定電話自体を持っていません。

電話口で読み上げるので回答の選択肢の前の方にあるものが選ばれやすい、態度がはっきりしない回答者には「あえて言えば」などと重ね聞きするかしないかで結果の数字が大きく変わって来ます。

鳥越俊太郎氏は、毎日新聞の記者時代、世論調査の結果を発表する前に選挙の担当者が数字を“調整”するのをしばしば見てきたそうです。
そういう裏事情を知っているので、鳥越氏自身は世論調査の数字を疑っていると語っています。

たとえば消費増税法案です。
賛成でも反対でも、記者が「こう考える」とはっきり書くには、何ともなく自信がない。そこに世論調査で過半数が賛成という結果が出ると「国民は支持している」と一面トップで強気で報じます。社説も「わが社も賛成だ」と書きやすくなります。要するに、自己確認のための道具に世論調査が使われている面があるというわけです。
これを多くの会社がやるので、結果的に消費増税が日本によって良いことなんだという意見がスパイラル化、同調化していきます。

鳥越氏は太平洋戦争について思い起こし、次のように語っています。
「日本の国民は最初から『戦争をしたい』と思っていたわけではないのに、メデイアに戦意を煽られて大多数の国民が支持して戦争へ突入しました。そのときのメデイアは、世界情勢や戦況の真実を国民に伝えていないわけです。それどころか国民の心情を『鬼畜米英』へ誘導するように煽っていました。
判断の前提となる情報をあえて偏らせることで、『民意をつくる』ことは可能なんです。メデイアが異論を排除し、一定の方向に走り出させた『民意』ほど危ないものはありません。それだけに今、世論調査で『民意』が増幅されていくことに怖さを感じます。
現状で異物として排除されているのが『小沢一郎』です。
『小沢問題』は、魔女狩りなんですよ。
ある時はその魔女狩りの対象が、鈴木宗男氏だったりしました。

本来であれば取材で突き止めた事実をもって批判したいけど、裁判では無罪判決が出た。検察にいたっては捜査資料を捏造せざるを得なかったぐらいだから批判する材料がない。そこで、世論調査という装置を使うわけです。

小沢氏が強制起訴された訴因である政治資金収支報告書の『虚偽記載』なんて、他の政治家でもいくらでもあるが、修正申告して済んでいます。そのことはほとんど報道しない。小沢氏についてだけ『収支報告書にウソの記載があった場合、会計責任者だけでなく、政治家本人の責任を厳しく問えるように法律を改正すべきか』と聞けば、それは多くの人が『すべき』と答えるでしょう。
それをもって小沢氏を批判するというのはフェアではない。

さきほどの太平洋戦争の例ですが、それとまったく同じことが、消費増税に関する世論調査についてもいえます。本来、社会保障の財源が足りないとすれば、それは保険料の値上げによって補うべきなのか、それとも増税によって補うべきなのか。仮に増税だとうすれば、消費税は相応しいのか、それとも所得税なのか、法人税なのか。一方、歳出面ではどこに、どれだけの無駄があるのか。こうした全体的なピクチャーを国民に示して議論すべきなのに、ほとんどそれをしないまま、財務省が最初から『消費税ありき』を押し付けてきました。そして自民党、民主党といた政治側ばかりか、メデイアもその理屈に乗り、それに沿った報道と社説を繰り返してきました。

同じ時期に行った調査では、朝日も読売も『今国会で増税法案を成立させるべきか』と質問したところ、させるべきが朝日では17%にすぎなかったのに、読売では64%の高率だった。この結論を見れば、世論調査によって民意を図ることがいかに虚しいかわかります。

小沢氏に対する支持率がそうで、ネットでは非常に高い。「Yahoo!みんなの政治」などのほうが、調査主体に変な色がついてないだけに、世論の実態を反映しているのかもしれない。
世論調査を使ってひとつの意見に染め上げられようとしているのは、好ましい状態ではない」とまったく合っています。鳥越氏は、やはりテレビに出てもらって、公平な裁判官になってほしいものです。

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