菅政権の官僚回帰がエスカレートし、消費税増税を言い出しただけでは、官僚のご機嫌がとれないと思ったのか、事務次官会議を「懇談会」と名称変えして“復活”させました。事務次官会議は各省庁の次官が集まり閣議にかける案件を決める役人支配の象徴です。鳩山政権が次官会見と並んで真っ先に廃止した悪しき習慣でした。ところが、菅政権は6月末から7月上旬にかけて、計4回も都内のホテルに次官を集めて懇談会を開催しました。あまりにもヒドすぎます。自民党時代とウリ二つです。さらに概算要求基準も自前では出せず、一律1割削減の財務省案を丸のみにしました。『形の上では政治主導』なんて口を滑らせる始末です。幹部の人事改革も後退し、従来通りの年功序例で決着しました。
マニフェストの大目玉であった天下り廃止も、“現職出向”の形で抜け道までつくってしまいました。
『官僚との提携』を政権の基本方針に掲げていますが、単に取り込まれただけのことです。8人もの官僚が秘書官としてつく仙谷官房長もすっかり“洗脳”されました。率先して酒食を振る舞うありさまですと情けない限りです。
菅首相は、「戦略局は予算編成への直接的な関与は想定していない」と発言しました。財務省主計局の仕事で、戦略局はシンクタンクとして政策提言すればいいというわけです。予算編成権を奪われることを恐れた財務省の意向を汲んだ決定と言われていますが、情けないばかりです。これでは、政権交代した意味がありません。
官僚支配に“完落ち”した菅政権は、なぜ参院選で大敗したのか、いまだに分かっていないようです。
土井たか子・元社民党党首のブレーン的存在だった九大名誉教授の斉藤文男氏は、こういいます。「菅首相は市民派活動家というが、首相になってから何をやりたいのかがさっぱり分からいない。彼を見ていると、たまたま首相になってしまって、今はその地位にしがみつくことしかないようにみえます」と、痛烈です。思想信条なき権力亡者ということでしょう。
元参院議員の平野貞夫氏は、菅氏のことを「似非市民運動型無思想性人格免疫不全症候群」と名づけています。平野氏も政権交代に期待し、アドバイザーも務めて来ましたが、菅氏にはがっかりのようです。さらに「菅首相は理念や基本政策の話は受け入れなかった。
右でも左でも本物と亜流がいる。本物は思想信条に命をかけるが、亜流は名誉欲が先行する」と話しています。
仙谷氏も国会答弁を聞く限りひどいものです。弁護士出身だから、シロでもクロでも言いくるめる自信があるのでしょうが、過ぎると信頼、信用を失います。継続審議になっている国家戦略局の設置法案には国家戦略局が「予算編集の基本方針の企画立案をやる」と書いてあるが、自民党議員が「本当にやらせるのか、やらせないのか」と迫ると「中期的ビジョンで首相に提言する」などという詭弁弄し、曖昧な答弁に終始します。国家戦略局は民主党マニフェストの1丁目の1番地だったのに仙谷氏にかかると、似て非なるものに変わってしまいます。
鳩山政権もかなりひどいと思いましたが、菅政権は、それよりはるかに劣る政権です。仙谷、枝野、岡田、野田、前原、安住らは、即刻、雑巾かけに戻すべきでしょう。今回の代表選で小沢氏が勝つことを望みます。かれならば、首相の座にしがみつくこともないでしょう。本来の潔い政治に戻るはずです。 政治とカネの問題は、人を追求していた仙谷氏、枝野氏も出てきています。政治とは、金がかかる仕事なのでしょう。仙谷氏、枝野氏のように他人の面倒を見ない人でも誤魔化しています。仙谷氏の事務所経費の話は、あらためて書きますが、ひとを責められるようなことをしていないひとが、よくひとのことを言えるなと、つくづくいやになります。
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