2012年6月17日日曜日

重慶でネット媒介のデモが多発

中国では、ミニブログでの呼びかけで、市民のデモが増えているようです。重慶市トップの薄熙来(62)書記の失脚でも、デモが発生しました。
「学生の遺体を引き取りに裁判所に向かおう」。ミニブログで広まった呼び掛けに応じたのは528日午前10時。市南部、万盛地区の裁判所に100人以上が集まり、門を固めた警察官と対峙しました。学生は27日夜、抗議デモで警官らと衝突した際に殴殺されたといいます。
市民の狙いは、薄氏が進めた区政府などの合併撤回にあります。合併によって、年金などの公的支給が減ったため、薄氏失脚の410日夜、ミニブログを通じて1万人の抗議デモが発生しました。
その攻防は戦争さながらで、武装警察が催涙弾を放ち、市民は警察車両をひっくり返して高速道路の出口を封鎖しました。封鎖解除と引き換えに市政府から減額撤回を引き出しましたが、実行されていないため抗議は収まらないわけです。

中国のミニブログの登録者数は5億人以上おり、影響力に注目した当局は、ミニブログを柱として世論の誘導に乗り出しました。薄側はネット検索最大の百度に23000万元(28億円)を渡して、自らの業績を評価した内容を検索しやすくしたとされます。

薄氏の暴力団の一掃運動に異議を唱えて逮捕された元・弁護士の李荘さん(50)の裁判について、市幹部がメデイアを集め、薄氏に有利なネット世論を形成する指導したことも明らかになりました。
治安当局も統制を強め、ネットで政府批判をした市民が拘束される事件が頻発しています。重慶市の大渡口区に住む張福香さん(35)は、道路の拡張に伴う住宅移転の賠償金で市と対立しました。そして、張さんは、「賠償金が支払れていない」とネットで批判を繰り返したといいます。北京の大使館にまで訴えようとしたところで、身柄を拘束されました。

ネットが有効なのは民主化運動なのか、それとも当局による住民の管理なのか。民主化を求める「08憲章」にも署名した弁護士の浦志強(47)は、「当局はネットを通じて個人の言動を細かく監視できるようになった」と問題視しています。

一方で、昨年初めに民主化を求める集会の呼びかけで、拘束された著名な芸術家の艾未未(54)はこう見ています。「最終的には、政府はネットを統制できず、 (言論などが)自由な世の中になるだろう」
もろ刃の剣であるネットを巡り、中国全土でせめぎあいが続いていますと、日経新聞は報じています。

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