高橋洋一氏によると、どのような国も免れない国際金融の命題として、「国際金融のトリレンマ(三すくみ)」があるそうです。「為替の安定(固定相場制)」「独立した金融政策」「自由な資本移動」の3つを当時に行うことができず、2つしか実現できないというものです。
先進国は2つしかのタイプに集約されています。一つは日本や米国のような変動相場制です。自由な資本移動は必須なので、固定相場制を取るか、独立したした金融政策をとるかの選択になりますが、国内により影響のあるインフレ率をコントロールするために独立した金融政策を選択し、固定相場制を放棄して変動相場制になるというパターンです。
もう一つはユーロ圏のように、域内は固定相場で、域外に対しては変動相場制というものです。やはり自由な資本移動は必要です。その上で、域内では固定相場制のメリットを生かし独立した金融政策を放棄しています。
今のところ中国は、自由な資本移動を採用せずに、固定相場制と独立した金融政策を採用することを基本としています。しかし、いずれ変動相場制に移行せざるを得なくなります。ところが、中国国内の事情で輸出権益を持っている人が今の中国の政治の中枢にいるので、輸出主導に利便な変動相場制へは容易に移行できません。
16日のG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)で中国は冷や汗たらたらでした。
「より市場で決定される為替レートシステムと為替の柔軟性に一層迅速に移行し、為替レートの継続したファンダメンタルズからの乖離を避ける」と共同声明で書かれています。
日本や米国のような変動相場制の国には何の問題もありませんが、中国にとっては死活問題になります。G20共同声明に見られるように、変動相場制移行へ国際社会からの圧力が高まることが、中国にとっては痛いところでしょう。
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