薄氏は、第一世代中国共産党最高幹部の子弟であること、いわゆる太子党です。同じ太子党で、彼より4歳年下の習近平氏が、偶然の成り行きから次の党総書記になると決まってしまい、習氏に対する強い競争心が薄氏の胸中にはあったと言われています。
薄氏は、「黒」退治を大義名分にして思いのままに振舞い、密告を奨励し、たちまちのうちに5000人を捕らえました。2010年には、公安局の前のボスだった文強を死刑にした。有名な話です。
遼寧省を中心に事業を展開する実業家、大連実徳集団の徐明董事長が、共産党の規律部門に拘束され、取調べを受けていると伝えられています。徐氏は3月15日に重慶市党委書記を解任された薄煕来氏と親密な関係にあることで知られており、薄氏の経済問題の参考人として事情聴取されている可能性もあります。
薄氏が失脚した直後から、中国国内では薄氏を賛美したり英雄視したりする声が続々と上ってきています。河南省の「商都網」では、「打黒唱紅」を含めた薄氏の「政績」を称えているといいます。
石平氏は、「薄氏を葬り去るのは簡単だが、今まで彼の存在によって代弁されてきた民衆の不満をいかにして吸収していくのか。それこそが共産党指導部が直面する最大の問題となる」と書いていますが、わたしは、今回の薄氏事件は、そっと闇に葬られると思います。これまでも政治犯、経済犯は多く出てきましたが、経済犯はともかく、政治犯がどうなったかというのは、明らかになっていません。薄氏はある面で魅力のある人物でしたし、まだ若い(53歳)ので、このまま埋没するのは、もったいないように感じます。
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