2012年4月12日木曜日

原発全停止でも停電はない

 東京電力の柏崎刈羽原発6号機の運転が325日に停止し、これで国内の原発54基のうち、53基がストップしました。残る北海道電力の泊原発3号機も5月上旬に停止される見通しで、再稼働がない限り、全ての原発が止まることになります。

不思議なのは、政府や電力会社、メデイアが騒ぐ割には、わたしたちの生活に何らの支障なく電力が普通に供給されていることです。

国内で必要な電力は一体どのくらいなのでしょうか。政府の「エネルギー・環境会議」によると、年間でもっとも電力を使う夏場を見た場合、今夏の最大の需用は9電力会社で計17954万㌔㍗です。仮に全ての原発が停止したままなら、供給力は16297㌔㍗で、1656万㌔㍗が不足するということになります。ザッと計算すると原発15基分です。

「政府は原発事故後の昨春、稼働する原発が15基となったため、夏場に1000万㌔㍗の電力が足りなくなると煽りました。ところが実際は猛暑にもかかわらず、供給不足になりませんでした。今年、1月も100万㌔㍗足りないと報じられましたが、全く影響はありませんでした。

今は都内のどこを見回しても「計画停電」の地域はおろか、消えている街路灯も、真っ暗なビルもありません。たった1基の原発しか動いていないのに、「電力が十分足りているからです」。こう言うのは、環境エネルギー政策研究所(ISEP)の飯田哲也所長です。ISEPによると、国の電力不足の試算には、「政府発表の今夏と比べて2300万㌔㍗も多い10年夏の電力数字が使われています。これは家庭も企業も全く節電しないことが前提です。供給力もかなり低く見積もられています。自家発電分を昨夏より142万㌔㍗も少なく見たり、理由が分らない供給不能電力が電力9社で計2000万㌔㍗もあったり。わざわざ真夏に火力発電所を検査し、供給不足に陥る電力会社もあります。ISEPの試算では、全ての原発が止まっても、電力不足どころか、2割近く余力があります」

全部止まっても、大した影響はありません。最近はリスク回避で自前の発電設備を備える企業が増えているし、電力消費も頭打ちが実態です。つまり、原発を再稼働させなくても、現状設備で十分、対応できるのです。

原発が全部止まっても、電力は安定供給できる。となれば、政府のやるべきことは、原発再稼働をどうするかではなく、原油やLNGをいかに安く確保するか。そこに知恵と予算を集中させることなのであると330日の日刊ゲンダイは書いています。

0 件のコメント: