23.「死ぬまで現役」の人生設計
本多はいかに老人になっても、決して隠居はしない覚悟でいる。
元来、人間以外の動物は、幾つになっても隠居などしない。皆、死ぬまで働き通している。
それなのに、ひとり人間だけが「自分はもう良い年になった」「いよいよ老境に差しかかった」「第一線から退くべきだ」などと考えろ。
また何年も立派に働けるのに、誤った隠居的観念にとらわれて、働くのをやめてしまうのはいかにも惜しい。一種の自殺にさえ見える。
やれ還暦だの、やれ古希だの、やれ喜寿だのといったつまらない習慣や迷信は振り捨てて、働けるだけ働いて、生きられるだけ生きるべきである。
本多が思うに、人間は老衰するから働けなくなるのではなく、働かないから老衰するのだ。
本多は80歳過ぎても、まだこの先、120歳まで生きるつもりの「人生計画」を立てている。そして今も、去年より今年のほうが経験を積んだ、知識も広げられた、思考も深まったという自信を持って、社会・国家・人類に貢献できると喜び勇んでいる。死に至るときまで、日々新たな努力を楽しんでいる。
忙しいことほど体の薬になるものはない。
忙しければ忙しいほどますます愉快だ。
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