2011年1月29日土曜日

班田収授法の実際(2)

 一見詳細に見える班田法の諸規定も、具体的な実施状況を考えると、意外な面が出てきます。第一に、満6歳以上という授田資格ですが、これは満6歳になればすぐにも口分田がもらえるのかというと、そうではありません。班田収授は6年に1度しかおこなわれないからです。今の国勢調査も似たようなものです。

 満6歳以後満12歳以前には口分田をもらえるかというと、そうでもありません。すなわち近年、班田法を詳細に研究された弘前大の虎尾俊哉氏の説によって、実施のしかたをのべれば、つぎのとおりになります。まず班田収授は戸籍にもとづいておこないますが、満6歳以上とは、実は6年ごとにつくられる戸籍に2回以上のるということです。戸籍は11月上旬現在の人口でつくりはじめますが、つくり終わるのは翌年5月末日です。こんどはその冬からまた翌年の春にかけて、全国の田の一斉調査、つまり校田をします。戸籍と校田の結果にもとづいて、いよいよ班田が始まるのは、造籍開始から丸2年後の11月で、終わるのは翌春2月になります。

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