内容は、杉田平介の妻の直子と娘(小学校4年生)の藻奈美が乗ったスキーバスが崖から転落しました。直子はガラスの破片などが心臓近くに突き刺さるというものでしたが、直子はしっかり娘の藻奈美を護っていました。そのために藻奈美は、大事故のわりに体になにひとつ傷がありませんでした。
そして、病院に運ばれた直子が息を引き取る一方、意識不明だった藻奈美は命を取り留めました。直子の葬式の夜、藻奈美は意識を取り戻しますが、娘の体に宿っていたのは、信じられないことに死んだ妻の直子でした。世間的には、妻を失った親子という関係を保ちながら、二人だけの"秘密"を胸に「娘との夫婦生活」が始まりました。
やがて、40歳の直子は17歳の娘になったことでそのギャップに戸惑いながらも、もう一度10代をやり直すことに新鮮さを感じます。不思議なことに理数が苦手だった直子は、藻奈美の身体では、理数も優秀でした。結局、大学は医学部に進みます。一方、平介は、この秘密がバレないかという不安に包まれながら妻を見守っていました。
2度目の青春を謳歌する直子に対し、平介は疎外感に暮れます。娘と妻に対する嫉妬心で娘の電話に盗聴器まで仕掛けます。二人の想いがすれ違う中、平介と直子はどうしても越えられない壁に行き詰ってしまいます。やはり夫婦として愛し合うことができないのか。一度は、こころみます。しかし、こころは妻でも肉体は娘です。とうとうあきらめます。
時が過ぎていくうちに、だんだん藻奈美の魂が戻り始めて来ます。直子が眠ると次には、藻奈美が現れるようになります。出てくる時間も藻奈美の方が長くなります。しかし、直接、直子と藻奈美は、話せないようで、コミュニケーションの手段として、手紙をお互いに書いているようです。
そして、藻奈美が「明日、横浜の山下公園に連れて行ってくれ」と言います。山下公園は、平介と直子が最初にデートに行ったところです。翌日、山下公園で、直子は、「これからは自分はもう出てこれないと思う」と言い、別れを告げます。
藻奈美は、結婚します。その結婚式の日に、平介は、一度、懐中時計の修理に訪れたことのある時計店に行きます。そうすると、店主が、「内緒にしてくれと言われていたが、藻奈美さんの結婚指輪を直子さんの指輪で作り直した」と言います。これを聞いて愕然とします。この指輪は、直子がテディベアのぬいぐるみの中に縫って隠していたものです。藻奈美が知るはずもないのです。
平介は、結婚式場に行って、藻奈美に確認しようと思いましたが、あきらめます。直子が認めるはずがないのです。
花婿に「2発なぐらせろ」と言います。「1発目は娘をとられた分だ。2発目は、もうひとりの分だ」。
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