2010年8月20日金曜日

100歳以上の老人の所在

 8月10日のわたしのブログに「100歳以上の高齢者、76人以上不明」と書きましたが、8月12日の産経新聞に、神戸市だけで105人が所在不明になっていると出ています。兵庫区などは、64人も出ています。不明者の最高齢は、東灘区の125歳の女性で、日本はおろか、世界最高齢になる可能性もありましたが、担当の役人はほったらかしでした。この女性の住民票上の住所は、29年前から市が管理する公園でした。普通は、このときに“おかしい”と思うはずですが、この神戸市の役人は、なんとも思わなかったようです。

 不思議なのは、神戸市も最高齢者には、市長や区長が祝い金を手渡しています。その折に、「所在不明はない」と強調して来ました。この祝い金は、どこへ行ったのでしょうか。一方で高齢福祉課では、「敬老祝い金の贈呈などで高齢者の所在を確かめる中、数年前から居住実態のないケースを把握していた」と言います。所在不明の105人は、高齢福祉課では、把握していたのですが、ほかの部門には、この情報を流していませんでした。これは、地方自治体の一例で、他の市町村でも同様のことが行われていたのでしょう。

 精神科医で作家のなだいなだ氏は、「このまま老人が増え続ければ、医療費がかさむと言って、後期高齢者制度を導入。われわれ高齢者にも負担を求めました。しかし、増え続ける老人には、どこにいるか分からない人が含まれているのだから、実にデタラメ。そんな幽霊のような存在のために所在がハッキリしている老人が負担増なんて、バカみたいな話です」とあきれています。

 大阪市では、行方不明者に40年間も選挙の投票案内を送り続けたことも分かっています。大阪市は、今回の所在不明問題を受けて、国が年金運営を委託している日本年金機構に対し、所在不明者の年金受給の有無を確認できないか照会しましたが、機構側は、「個人情報」をタテに提供を拒否したそうです。これに先立って、機構側が市に110歳以上の高齢者の安否について問い合わせた際には、市は情報を提供したそうです。年金機構の方が市よりも上と思ったのでしょうか。困ったものです。

 しかし、この時にいたって、なぜ国民総背番号制が言われないのでしょう。これが、あれば、どの機構も地方自治体もすぐに分かったはずです。

 今回も行方不明者になっている家族は、ある区に死亡届を出したそうですが、それが住民票を登録した区ではなかったために住民票がそのまま生きていました。
 いずれにしましても、今回のことをきっかけに住民に対するサービスを見直してほしいものです。特に老人福祉といいながら、まったく放置されていたことが、今回の件で分かりました。メデイアも定期的に取り上げてほしいものです。そして、100歳までも生きられたお年寄りには、みんなでお祝いしてあげたいものです。そうでないと、『平成版楢山節考』です。老いも若きも、お互いを敬う時代にしたいものです。

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