2010年6月17日木曜日

読書術(9)

 轡田隆史氏の『1000冊読む!読書術』の9話目です。
 入学、卒業、就職、結婚(失恋も!)、退職など、人生の節目ごとに、それまで読んだことのない分野の本を読んでみるといい。新しい世界が発見できることは確実だと述べています。

 さて、その本の読み方ですが、大別すれば、
①ゆっくりと楽しみを求めながら読む本。そこから何かを得ようなんて考えない。
②必要に迫られて、ともかく急いで読んで、何かをつかまなければならない。
の二種類ということになるでしょうか。ほんとうの意味での読書とは、①の、ただ楽しむためのものでしょうが、なかなかそうはいきません。それと、
①みんなが読んでいるから、じゃあ読もうという、ベストセラー読み、受賞作読み。
②なるべくなら、ほかの人があまり読まないような本を読みたい。
と、いう読み方もあるでしょう。さらに、ただ何となく読んでみる、何となく読んでしまった本もあるでしょう。これは、轡田氏の読み方といっています。

 佐藤優さんの著作である『獄中記』(岩波現代文庫)は、「国策裁判」を批判しながら、裁判を闘う、冷静、強固な意志が、印象的です。読書という一点に限っても、驚くほど多彩な内容です。512日間の獄中生活で読んだ本は、150冊を超えているようです。

 読書リストを見ると、思わずウームとうなりたくなるような本ばかりです。佐藤さんの場合とは、てんで異なる低次元の話だけれど、同じように裁判の渦中にある若い経済人も、「獄中記」ふうのものを書いています。多分、わたしたちもよく知っている六本木ヒルズの住人でしょう。「読む人」と「読まない人」の差の、あまりの大きさにビックリすると書いています。

 「本を読まない」とこうなる、志の方向が金儲けで、「和」の志が乏しいと、こういう人物になっちまうかもしれないぞ、といささか不安にさせてくれるという意味では、教訓的な貴重な本かもしれない!しかし、わたしは読みたいとは思いません。時間とお金の無駄でしょう。

 佐藤さんは、「外にいるとき」の速読についてちょっとふれていますが、1日1500から2000ページは読むようにしていたそうです。ウーンとうなります。キーワードを焼きつけていく方法で、目次と結論部分だけは少しゆっくり、読む、そうです。ただし、どんな本でも斜めに読むことができるという意味での速読法はない、背景となる知識(教養)がどの程度あるかが問題になる、と語っています。

 佐藤氏の「獄中読書リスト」に、高校の数学の教科書が何冊かふくまれていました。どう読むか、によって、教科書を読むのも読書のうちに入ります。ことに大人になってから、子ども時代の教科書を、ふと手にして、結構、読むに値するものという発見に喜ぶこともあります。なかなか勉強になります。

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