轡田隆史氏の『1000冊読む!読書術』の6話目です。
3章には、「できる人」は、なぜ読書家なのか~人間的魅力とその遊び心とは?と、あります。
本に勝る“話題の宝庫”はないと轡田氏は、強調しています。
新沼謙治の『津軽恋女』に、こな雪、つぶ雪、わた雪、ざらめ雪、みず雪、かた雪、こおり雪と、雪には、7種類の雪があると謳っています。
怪談『牡丹灯篭』は、中国の小説『剪灯新話』を、江戸時代前期の作家、浅井了意が翻案したものです。これを明治の落語家、三遊亭円朝が江戸の実話を加えながら、驚くべき想像力で創作した噺でした。娘の死霊が、牡丹灯籠を提げて恋人のもとに通うという怪談は、中国から渡ってきた書物に源があったのです。子どもの頃に映画で見ましたが、まさか中国にその下書きがあったとは、知りませんでした。
轡田氏は、他の人の書いた本から、かなり転用するようです。かれは、「拝借」とは、じつにあいまいな表現で、「引用」や「受け売り」や「モジリ」のことではないかと、書いています。
『日本国語大辞典』(小学館)によれば、「引用」とは、自分の論のよりどころなどを補足し、説明、証明するために、他人の文章や事例または古人の言を引くこと。
「受け売り」とは、他人の意見や学説をそのまま自分の説のようにして述べること。
「モジリ」とは、著名な詩文・歌謡などの調子をまねて滑稽化すること。また、その作品。パロディー。と、あります。
轡田氏自身も「ぼくの文章のほとんどは「引用」「受け売り」「モジリ」ばかり。いちいち断るのも何だから、三つを総称して、「拝借」という、まことにあいまいな表現で逃げています。いや、「逃げている」のでは、ない。それでいいのだ、と思っている、「確信犯」なのだ」と書いています。また、「本を読んでは、あれこれ「拝借」したもので、頭のなかの引き出しをいっぱいにする。それを小出しにしては、書いたり、しゃべったりしているのだ」とも書いています。
また、モジリという手法は、轡田氏の好物と書いています。
「考える力」をつけるための、最も手っとり早い方法こそ、読書なのだ。漢字・カタカナ・平仮名と、3種類の文字が入り交じっている、世界で唯一の文章を解読する作業が、脳を活性化することになります。「少年時代」と違って、大いに「考える力」をつけなくては、「大人」として生きていけません。
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