轡田隆史氏の『1000冊読む!読書術』から、参考になるところ、面白いところを抜き書きしました。
2章は、『本を読めば読むほど、頭は良くなる~読書習慣がある人、ない人の埋められない差』です。
毎日読書をする人、しない人、この「埋められない差」とは?
『「読む」には頭を使うが、使った頭は、どんな影響をうけるのか?ほんのしばらくでも本を読まないでいると、「読む力」がてきめんに低下する事実を永年の読書体験で知っている。それは、サッカーの練習とまったく同じだ。期末試験やシーズン・オフでしばらく練習を休んだあとの練習は、きつい。すぐに息切れするし、筋肉痛にもなるし、ボールは足についてこない。肉体も頭のなかも、つまり、なまっている。「なまる」は漢字で「鈍る」と書くが、回復するのに1週間はかかった。この「なまる」という状態はなかなか深刻で、読書(文章を書くのも)もまったく同じで、1日でも読まない(書かない)日があると、てきめんに「力」が「なまる」。まずスピード。そして集中力。
「読み書き」はふつう「頭脳労働」といわれるけれど、じつは肉体労働だ。筋肉労働だと考えた時に目からウロコが落ちた』と書いています。
人類進化史上の時間経過の90%は、文字のない世界でした。文字を操作する能力は、「話し言葉」によってすでに用意されていたのに、その能力が発揮されるチャンスはありませんでした。それが、「文字の発明」によって、その能力を発揮するチャンスがやってきました。「文字の発明」は、いいかえるなら、「読み書きの発明」で、読書への、長い道のりのはじまりだったわけです。
人間の能力は、文字の発明によって飛躍的に伸びました。「文字」イコール「書物」といっていいほどに、人間の歴史は、書物の集積の上に成り立っています。
読書は、脳を鍛える一番いい方法
日本人は、中国で発明された漢字をまず「万葉仮名」として用い、さらに漢文で書かれているお経を読みやすくするための「カタカナ」を発明しました。「漢字・平仮名・カタカナ交じり文」という、世界でもきわめて珍しい表記方法を発明したのです。わたしのまわりには、中国人が多いのですが、みな、「平仮名」「カタカナ」の素晴らしさを褒め称えます。
話は変わりますが、イカの神経は、人間の神経を研究するのに重要な存在らしいのです。不思議なことに、イカの神経は動物界最大で、太さにして直径1ミリほどあり、カエルの神経の百倍も太いのです。このために、中の電圧も測りやすいということです。「漢字・平仮名・カタカナ交じり文」を読んでいるときには、脳の中の回路では、漢字に行ったり、平仮名に行ったりで、かなり忙しく働いています。
本を1ページ読んだだけで放り出してしまうのと、100ページ読んだのでは、100倍の差が開いてしまいます。その結果から得られる読解力の向上は、脳の発達そのものなのですから、本がスラスラ読めて、意味が素早く、確実につかめるようになることは、ただ単に本がよく読めるようになっただけでなく、明らかに脳の能力が向上したのです。頭が良くなったのです。漢字も平仮名の読みも、左脳で営まれているそうです。脳の両半球から、左半球の効率のよいシステムへ切り替わってゆくことによって、思考と感情を別々に処理できる速さを手に入れたことになります。「漢字・平仮名・カタカナ交じり文」を発明してくれた先祖に感謝しなければなりません。
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