2008年8月12日火曜日

シャープ、初の減収

 シャープの平成20年4~6月期連結決算は、売上高が前年同期比6%減の7478億円、営業利益は13.8%減の364億円で、4~6月期では、ともに四半期決算の開示を始めた平成14年度以来初めて前年を割りました。もっとも大きな理由は、携帯電話各社が始めた割賦販売の普及で端末価格が上昇したために消費者の買い替えサイクルが長くなり、携帯端末の販売が低迷したためです。AV・通信機器部門の営業利益は、前年度の3分の1強に落ち込みました。携帯端末の販売台数は前年同期比39%減の299万台、販売金額も38.1%減の1290億円と大きく減少しました。濱野副社長は「前年の4~6期は、業界全体が前年並みの中、シャープは8割増となり、あまりに良すぎたこともあった」と述べています。液晶テレビも販売台数は32%増の205万台でしたが、販売金額は3.8%増の1762億円にとどまっています。
 シャープと松下電産の株価を比較しますと、8月5日付けで、シャープが1387円、松下電産が2315円で、大きな差がついています。一時は、シャープの方が上でした。
 この大きな理由は、液晶の今後の価格が、当初見込んでいた金額を大幅に割り込み始めたからでしょう。台湾の液晶パネルメーカーは、早くに減産に踏み切っています。来年、6000億円を投資したといわれる堺工場が稼働します。液晶のみでは危ういというので、太陽電池工場を併設しています。これにも3000億円を投じたということです。こういう一極集中投資は、いいときは非常に景気がよく見えて、株価も上がるのですが、ひとつ懸念が見えますと、極端に下がります。今のシャープは、高株価政策をとらないと、海外資本に食べられる危険性があります。このためには、液晶テレビはアメリカ以外の中国、ロシア、それにユーロ高のヨーロッパで伸ばすべきです。携帯端末は、日本は伸びません。わたしは、今年は、昨年比25~30%減になると予測しています。したがって、今回の39%減は少し減り方が大きいのですが、同じように減少する携帯端末メーカーが増えます。この難を回避するには海外を伸ばさなければなりませんが、商品企画面で問題があります。早急に手を打たないと、再び中国から撤退ということになりかねません。当社の中国通信情報86刊にはこのことについて触れています。いずれにしろ、早急な修正が必要です。

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