第139回芥川賞に中国人の楊逸(ヤンイー)氏(44)の「時が滲む朝」が選ばれました。中国人で初受賞ですし、日本語を母国語としない非日本語圏の作家が受賞したのも初めてです。一部では、北京オリンピックもあるので、その祝いでもあるだろうという人もいます。選考委員の一人で、東京都知事の石原慎太郎氏は、18日の定例会見で記者の質問に答え、「日本語としてはかなりなめらかになった」としたものの、「近代化を目指す中国の大学生が政治の合理化、透明化などを唱え、天安門事件で挫折したのは人生にとって深刻な問題。受賞作にはそういう人生の主題は書かれておらず、要するにただの風俗小説だ」と述べました。石原知事は前回、楊氏が「ワンちゃん」で初めて候補となった際、「日本語としての文章が粗雑すぎる」と評していました。今回の選考会は、体調不良のため欠席しましたが、書面回答で「○×△では△しかつけなかった」と明らかにしました。
芥川賞は、純文学に与えられ、直木賞は大衆小説が対象になります。選考方法は、選考会で各委員が選評を述べた後、〇×△の3段階で評価を付けます。〇は支持で1点、△は消極的支持または保留で0.5点、×は不支持で0点です。全員の選評が出尽くしたところで、第1次集計に入ります。これを、十数回繰り返し、「選考委員の総意」を採ります。芥川賞の選考委員は、池澤夏樹、石原慎太郎、小川洋子、川上弘美、黒井千次、高樹のぶ子、宮本輝、村上龍、山田詠美の9人でした。信長の棺を書いた加藤廣氏は、純文学は純だけではダメで、純にして興、興にして純でなければならないと語っていました。
今回選ばれた揚逸氏は、ハルピン出身です。留学生として来日し、日本語で文章を書くことさえ容易ではなく、受賞するまでの苦労は大変だったようです。揚逸氏の伯父さんは、横浜中華街で「華都飯店」を経営しているそうです。「華都飯店」は関帝廟通りと長安道が交差する地久門のそばにあり、四川料理の重慶飯店の向かい側です。北京料理で鍋もあります。中田横浜市長もよく行く店だそうです。
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