2013年4月6日土曜日

その食べかた、間違っています~葛谷雅文

 
文春文庫から話題の本が出ています。その中のひとつが、葛谷雅文氏の標題です。紹介したいと思います。

高齢者(六十五歳以上)の総人口比率が21%を超すと超高齢者社会と言われます。
 日本はご存じのように2007(平成19)にこの基準をクリアし、超高齢社会に突入しました。
 75歳の声を聞くと、少しずつ高齢者特有の変化が現れ、健康に関してもいろいろな問題が出始めて来ます。注意しなければならないのが、低栄養(栄養不足)といいます。

自立して生活している後期高齢者のうち低栄養と診断されるのは約10%程度ですが、要介護認定を受けている人では3040%が当てはまるそうです。

口腔内の問題は重要で、入れ歯(義歯)が合わないだけでも食事量は落ちます。
 重要なのはBMIの変化、体重の変化であるといいます。82歳の女性の患者さん(BMI27kg/)は「水を飲んでも太ってしまう。痩せられないので悩んでいる。現在、一日二食にし、野菜を中心とした食事に切り替え、さらには市販のやせ薬を購入して服用している」といいます。

葛谷氏は、「とんでもない、八十歳を超えた方がそんな無理なことを実行したら、かえって体を壊してしまいます。無理な食事制限はせず、三食必ず食べて、これ以上体重が増えないよう気にかける程度にしてください」と話しています。

一般には高齢者の減量は注意が必要であり、勧められません。
ただでさえ、食欲は加齢とともに減退してきます。体重も一般的に男性では六十代、女性では七十代をピークとして徐々に減少します。知らない間に体重が減少してくるようなら、健康障害の注意信号と考えたほうがよく、一週間に一度は体重計に乗り、自分の体重をチックしたいといいます。

八十五歳の女性が私のところにいらっしゃって、「二十年ほど前に、かかりつけの先生から
コレステロールや油ものをなるべく避けるように指導され、それ以降、卵や乳製品を取らないようにしているんです。もちろん肉は鳥のささみしか食べません」と誇らしげに話されたといいます。

六十五歳の時と比較すると15kg以上体重が減ったといいます。
 コレステロールは動脈硬化の危険因子です。特に悪玉コレステロール(LDLコレステロール値)が高いと心筋梗塞などの虚血性心疾患のリスクになります。

そのため血液中の悪玉コレステロールを低下させる目的で食事指導がなされるのが普通です。
 一般的に医師は動物性脂肪の摂取をできるだけ避けるように勧めます。

しかし、これも中年期までの話で、コレステロール摂取によって動脈硬化を引き起こす危険度は高齢者では徐々に低下し、後期高齢者ではその影響は少ないといいます。むしろLDLコレステロール値が低すぎると脳出血もリスクになることが報告されています。

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