2013年4月5日金曜日

がんの末期は痛むのか


 がんについては、今後も取り上げると思いますが、がんの末期は痛む、苦しむという社会通念があります。そのことが、がんへの恐怖や不安を生み出し、がん検診受けて早期に発見しようとする動機のひとつになっていると医師の近藤誠氏が書いています。

 義理の母が末期の胃がんでいろんなところに転移し、痛みだけがないことを祈っていましたら、どうもがんが脳に転移し、痛みもなんともなく、亡くなりました。

 「大往生したけりゃ医療とかかわるな」の著者である中村仁一さんは、老人ホームの専属医だそうですが、ホーム内の老人にがんが発見されても、手術そのたの積極的な治療は行なわずにみとってきました。皆、眠るように死を迎え、誰も痛まなかったといいます。

 老人本人の意思で、最期まで(がんに対する積極的な)治療を受けなかった方々ですが、放置経過を観察することにより、がんは無治療で過ごして亡くなられる場合、やはり痛みが生じないことが分かりました。

 それでは、なぜ痛みが生じないのか。放置した場合の死因が、がん初発病巣の増大だからです。がんが増大して、重大な機能を担う臓器の機能を妨げ(機能不全)、死に至る場合、原則として痛みは生じないのです。

 肝臓にがんが生じて、肝臓の大部分を占めると、老廃物が処理できなくなって体の中にたまります。それが脳に働きかけて意識を落とすので、最後は眠るようになくなります。

 腎不全も比較的楽な死に方といえます。この機能が落ちると、老廃物が体内にたまり、それが脳に働きかけて意識を落とすので、眠るように亡くなることができるのです。

 腎臓に初発する腎がんは、腎不全を起こしにくい。腎臓が2つあるため、がんで片方やられても、他方が健全なら、腎機能を十分保てるからです。

  多くのひとが、がんで亡くなる確率が高い今日、がんの痛みで亡くならないことが、分れば人生の不安の一つが消えると思います。

 

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