高齢化社会の進行によって人生が昔の倍近くとなった今、残された子らは、それなりに蓄えや資産を持っていておかしくない年齢となっています。散々親のすねをかじってそこまで行き着いているのに、いまさら親の遺産による扶養を期待できる立場ではありません。
高度成長期の働き蜂世代は自分たちに長い老後が待っていることを知っているだけに、容易にこれを消費しない。
配偶者の法定相続分を増やした昭和56年施行の民法改正で、法定相続分を修正できるケースとして、二つを認めています。
ひとつは、①死者の生前に行っていた事業について特段の労働や財産の提供をなしたケース、もうひとつは、②死者に特段の療養看護等を行ったケースです。これらの場合に、財産の維持・増加があれば、相続分の割り増しが認められることが明確になりました。
実際の裁判でこの制度が果たしてきた役割は、残念ながらこの期待にこたえるものではありませんでした。介護者それも専従的介護者への寄与分の認定でも、高くても総遺産の15%程度、通常は数%にとどまり続けています。親と同居していた子が寄与分を主張しても、親の家にただで同居していたのだから、と寄与分を認めてもらえないケースも多くあります。
父母の家事全般を世話してきたというケースが家庭裁判所でありましたが、認められたのは、一日8000円×3年間=876万円に過ぎません。一日5000円から8000円のものが多く、高いものでも、一日1万3000円止まりでした。
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