2013年1月8日火曜日

藤巻健史の日本大沈没(8)


何度も「内需拡大」という政策目標が掲げられたのに、経済が拡大したことは一度もありませんでした。
外国人の日本株買いは、日本の負債の増加を意味します。純資産とは、「総資産から負債を引いた額」ですから、外国人が日本の株を買い増すと、日本国の対外純資産は減ります。これは日本の財政状況が悪化したことなのでしょうか?

日本への海外からの投資が少ないことが、いま問題になっています。日本の対外純資産が大きいのは、投資先として日本に魅力がないからで、財政が健全な証拠にはまったくならないのです。
すでに日銀はゼロ金利という、最大限の金融緩和を行っています。
政治家が「さらなる金融緩和を進めろ」と言っているのは、「さらなる量的緩和を進めろ」と言っているには過ぎません。

「量的緩和が金融緩和となる」かは極めて疑問です。
量的緩和を過激にやれば、インフレを起こすことはできるでしょう。しかし、それは制御不能で、即ハイパーインフレをもたらすでしょう。それは政策でもなんでもありません。
日銀と日本国の自殺行為です。

2012年の2月に日銀が量的緩和をした後、しばらく円安が続きました。
量的緩和とほぼ時を同じくして、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの会長であるジム・オニール氏がレポートを出しました。円安はその影響だと藤巻氏は見ています。
ジム・オニール氏は、「円と日本国債はバブルである」と言いましたが、これは藤巻氏の主張と一緒だといいます。
日銀が市場を通さずに直接、国から国債を買うことを「国債引き受け」と言います。いまは財政法第5条で禁止されています。理由は、ものすごいインフレ、すなわちハイパーインフレになったからです。これを、今、安倍総裁は、はずそうとしているような気がします。
過去、中央銀行の国債引き受けは、間違いなく、制御の利かないハイパーインフレを引き起こしています。今回だけはそれを回避できるというのでしょうか。
日銀の国債引き受けはマネタイゼーションと言って、財政の規律が崩れる契機となるのです。
藤巻氏は、次のような例を引いています。

いま、高層ビルの50階で火事にあったとします。「助けてくれ~」と外の叫んだら、救助の来た消防士が、「焼け死ぬのが嫌なら、飛び降りろ」と答えたとします。それを救助というのでしょうか。
「日銀の国債引き受け」は政策ではないのです。
「財政破綻」と「ハイパーインフレ」、どちらにしても悪夢です。「一つの悪夢を回避するために、もう一つの悪夢をみろ」と言うのは政策ではありません。

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