その後も、その勢いはやみません。
「中国民族の復興」という言葉は中国が欧米列強に蚕食されていた19世紀末から20世紀前半に孫文や蒋介石らが唱え、前世紀末に江沢民政権が“借用”したものです。それをなぜ今頃になって持ち出したのでしょうか。
近現史を振りかえれば、独裁政権が国民の不満をそらすために民族主義を鼓舞し、対外侵略を繰り返した例はあまたあります。
中国共産党政権も1989年の天安門事件やソ連崩壊による独裁体制の危機を、江沢民政権の反日民族主義と富国強兵路線で生き延びて来ました。
習近平体制には2つの道がありました。
1つは胡政権が先送りした国内の政治・経済改革に正面から取り込むことで国内矛盾を解消し、外に向けては平和外交を展開すること。
もう1つは江政権の民族主義・富国強兵路線への回帰です。習総書記が後者を選択したことは明らかです。 真の改革を進めるには、
①特権層の既得権益体制を打破する
②天文学的規模の腐敗を根治して、所得分配の公平、公正化を進める
③言論・報道の自由を保障して権力を監視し、真の民主と法治の社会を構築する
ーなどが最低要件です。
だが習氏は幹部の腐敗絶滅には「党が党を厳しく管理せよ」(11月15日会見)と説いています。
共産党が法の制定と執行の権力を独占して「法の下での万人の平等」が保障できるわけがないはずです。習氏の法治の本質は「党治(党による統一)」に他なりません。
国内外向けの発言のズレも気になります。12月5日の外国人専門家グループとの会見では「中国は決して他国を脅かさず、対外拡張しない」と述べました。ところが、その舌の根も乾かぬ同日、戦略ミサイル部隊との会見では同部隊を「わが国の戦略的威嚇力の核心」と称揚しました。
日本にとっても、一瞬たりとも気の抜けない日々が続きそうです。関係者の一層の奮励努力を期待したいものです。
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