2013年1月5日土曜日

藤巻健史の日本大沈没(5)


日本国債の91.7%(2011年末)を日本人が持っています。日本がこけたところで、直接的な損をするのは日本人だけです。ユーロ圏以上にポピュリズム政治(大衆迎合政治)が蔓延しています。
日本では、いくら政治家がばらまきを行っても、長期金利が上昇しません。警戒警報のスイッチが切ってしまっているためです。ばらまきをしても警報が鳴りませんから、政治家はばらまき放題です。その結果、とんでもないほどの累積赤字がたまり、財政破綻というつけが回ってくることになるのです。

チェック機能が効かないところでは、バブルは想像を絶するほど大きくなってから破裂します。その衝撃度もすごいのです。警報が鳴っていないところにショックが来るのですから、国民の狼狽ぶりも想像を絶するものだと思います。
よく、「長期金利が上昇していない。だから日本の財政はまだ大丈夫だとマーケットが言っている」と発言する識者がいらっしゃいます。
これは違います。日本ではマーケットがメッセージを発していないのです。だから問題がこんなに大きくなってしまったのです。

なぜ日本の長期金利はこんなに低いのでしょうか。
名目の長期金利は、「実質金利+インフレ期待率+クレジットリスク」で決まります。名目金利は、利回りのことです。
インフレ期待率は、景気がよくなると思えば上がり、悪くなれば下がります。
クレジットリスクとは倒産確率で、倒産の確率があがれば、名目の長期金利は上り、確率が下がれば、長期金利が下がります。他人にお金を貸すときに、お金を返してくれない可能性の高い人には高い金利を要求すると思いますし、絶対返してくれる人には低い金利でいいと思うでしょう。
「金利の上昇」には2種類あります。よい金利の上昇と悪い金利の上昇です。
よい金利の上昇とは、インフレ期待率が上った結果の名目金利の上昇、すなわち景気がよくなった結果の上昇です。

一方、悪い金利上昇というのは、倒産確率の上昇による名目金利の上昇なのです。
景気がよくないのに名目金利が上がっていると市場がみているからです。
「財政がさらに悪化すれば日本国債が売られ、経済が混乱しかねないとの危機感を表明したものだ」と記事は書きます。それなのに長期金利は、「倒産確率はゼロ」と言っています。これは市場が「倒産確率はゼロ」と明言しているというよりは、「マーケットがゆがんでいる」と考える方が自然だと藤巻氏は語っています。

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