「生活保護が急増したのはバブル崩壊後からですね。高度成長期を支えてきた東京の山谷や大阪あいりん地区のドヤ街の日雇い労働者が、50歳を超えて働き口がなくなってきたということがあるのでしょうね」というのは、生活保護問題に詳しい人事コンサルタントの城繁幸氏。
実際、山谷を抱える台東区は生活保護受給率が23区内で1位。あいりん地区のある大阪市も市民18人に1人が生活保護受給者という事態になっています。
失業者は全国平均(2010年)の5.1%に対して、大阪府は6.9%。離婚率は全国1.99パーミル(1000につき何人)に対して、大阪府は2.75%パーミル。高齢化率(65歳以上が総合人口に占める割合)は全国は19.4%ですが、大阪府は21.3%といずれも高くなっています。
11年度の大阪市の生活保護予算は過去最高の2916億円。一般会計の実に17%近くに及びます。あいりん地区を抱える西成区は、何と区民4人に1人が生活保護を受けていることになります。
「高齢化で生活保護が増える原因として年金制度の欠陥が挙げられます」と先の城氏が指摘します。
「サラリーマンなどの加入する厚生年金の場合は、定年後月に20万円ほど貰え、退職金もあります。自営業者は基礎年金の月6万円程度ですが、定年もなく働けるだけ仕事を続けられます。しかし、年金に加入してこなかった人々は、年金を受け取らずとも、生活保護を受ければいい、ということになってしまった」ということになります。
その結果、基礎年金よりも、生活保護費の方が多いという逆転現象が起きてしまいました。東京都を例に取ると、高齢者夫婦世帯(夫68歳・妻65歳)だと生活扶助として月額12万1940支給され、住宅扶助として6万9800円(上限額)が加わります。医療費は公費負担となります。
生活保護費より最低賃金(時給換算)が下回る自治体も現れています。
「東京都の最低賃金は837円。1日8時間月に20日働けば、13万3920円になります。ところが、生活保護費は住宅扶助を含めれば、夫婦と子ども1人では24万4970円が支給され、さらに医療扶助、教育扶助なども加わります」
これでは働くのはバカバカしいと考える人がいてもおかしくありません。不正受給も後を絶ちません。
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