2011年10月19日水曜日

東芝・日立・ソニーの液晶連合(2)

 3社はこれまで培ってきた技術や製造ノウハウが異なります。自社技術へのこだわりも強く、立地選定が遅れている理由が、このあたりにあります。

新会社の社長や役員陣も未定です。社長は外部から招き、そのほかの取締役も革新機構と3社が出資比率に応じて派遣する方針ということです。しかし寄り合い所帯では、出身母体の意向に配慮して事業運営の効率が下がる懸念があるでしょう。

今後は有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルの開発にも注力する考えですが、ソニーの吉岡浩副社長は「有機ELの技術は新会社に移さず、技術協力で対応する」と慎重な姿勢を示しました。中小型の有機ELは韓国サムソン電子が独走状態で、新規事業の育成にもたつけば挽回は一段と難しくなります。

日立の中西宏明社長は「日本の産業は国内競争で体力を消耗してきた。これからは力を合わせて盛り上げていきたい」と強調しました。

今回の出資は、官民共同ファンドの産業革新機構にとって過去最大の案件で、大企業の事業再編を促す初めての事例となります。はたして、日本全体の産業構造強化に結びつくかどうか、真価が問われます。

革新機構の能見公一社長は831日、日本経済新聞の取材に応じて「今なら先端技術が国内にあり、事業統合で国際競争力を高められる」と説明しました。

統合新会社は現在世界首位のシャープを脅かす公算が大きい。シャープは「中小型で他社と組む必要性は感じない」(幹部)として単独路線を維持するもののライバルへの資金投入には不満もありそうです。革新機構の能見社長は「過剰プレーヤー問題が解消できる」として業界全体にメリットがあると反論しました。

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