東日本大震災の巨大地震はまったく予想されていませんでしたが、地震後の研究で「前兆」の可能性がある複数の現象が見つかりました。
東大地震研究所の加藤愛太郎助教授らは、本震の震源附近で観測された前震活動に着目。北東側で2日前に起きた大きな前震(M7.3)や、2月中旬から続いていた約1400回の小さな地震を分析した。
その結果、小さな地震の震源は、M7.3の場所から本震の場所に向かって2回移動。M7.3が起きた後の移動速度は、2月下旬までと比べて数倍にスピードアップした。
本震のすぐ北東では、約14時間前に通常の約1000倍に相当する急速な滑りが始まったことを突き止めた。
加藤助教授は「前震活動からM9を予測することは困難だが、巨大地震のプロセスを知ることで、将来的には予測につながるかもしれない」と期待しています。
北海道大の日置幸紹介教授は大地震の約1時間前、東北地方上空の電離圏で電子が異常に増加したことを、GPS(衛星利用測位システム)の電波から大地震2日後に発見しました。スマトラ沖地震などでも同様の現象があったことを確認しました。地震との関連性はまだわかりませんが、日置教授は「リアルタイムで高精度に把握できれば予知に役立つ可能性がある」と話します。
海溝附近では、揺れはそれほどでもないが、海底が大きく隆起して津波が巨大化すつ「津波地震」が起きる。東北地方では明治三陸地震はこのタイプです。
海溝附近のプレート境界地盤が非常に軟らかく、固着していないと考えられていましたが、大震災では宮城県の沖合を中心に大きな滑りが発生し、津波地震と陸側の海溝型地震が広範囲で連動するという地震学の常識を覆す実態が起きたというわけです。
一方、南海トラフで起きる地震の想定では、東海、東南海、南海地震の3つが連動した宝永地震(M 8.6、1707年)が最大級とされてきました。
巨大津波の痕跡は実際に見つかっています。高知大の岡村真教授らは高知県や大分県の沿岸部の池で津波堆積物を調査。宝永型が300年程度の間隔で繰り返すことや、約2000年前には宝永を上回る巨大地震が襲ったことを確認しました。
今後の海溝附近の津波地震を含む「大連動」を真剣に検討する必要があります。次の地が単独型で起きる保証はどこにもありません。
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