2010年10月4日月曜日

わが子を伸ばす(9)

~四大必須科目「音読」「作文」「暗算」「焚き火」~(松永暢史著)

 英語は訳さずに読む
英語が苦手では受験に不利です。音読法は英語にも役立ちます。長文をどれだけ速く読めるかに合格がかかっているのですから、スーッと流れるように読んでいかなければ間に合いません。順番を頭の中でいちいち並べかえずに、読んだそばから理解していくのです。大事なのは、主語と述語で、これをしっかりおさえ、「何を?」「どこで?」と問いかけるように読んでいくのです。
勉強していると、ランニング・ハイならぬスタディング・ハイがやってくることがあり、
「もう一時よ、明日も学校なんだから、早く寝なさい」
こういうときにこんなこといってはいけません。こんなときは寝るなんてもったいない。翌日寝不足で学校に行ったっていいのです。子どもの学習能力=成績が急激に上がっている状態なのです。
 冴えている子どもは、教科書でも参考書でも問題集でも、なんでもすんなり頭に入ってきているのです。わかる喜びに興奮しているのです。

 残念ながら、こういう幸福な時間は、そうは長くは続きません。スタディング・ハイを体験している子どもたちは、黙っていても勉強します。スタディング・ハイにある子どもには、黙ってみていることが親のできる一番の協力なのです。
センター試験のような愚かな試験に求められる力は暗記力です。
教育者としての私が暗記を嫌う理由は、無理な暗記が子どもたちの頭を悪くしてしまうことが多いからです。
暗記力のある人=頭のいい人というわけではありません。

 「クレオパトラと関係のない人物を次の中から選び、その人物が王に既位した年代を1~4の中から選びなさい」
こんな問題に答える必要があるとは私には思えないのです。こうした入試を制するには、無意味な暗記を数多くこなし、なおかつ問題文のレトリックの罠にはまらないようにするしかありません。これでは伸び盛の子どもたちの頭が悪くなってしまいます。
受験が終わったらすっかり忘れてしまう知識は教養とは呼べません。

 家庭教師選びは大変重要です。東大生だから教え方がうまいとはかぎりません。東大生はもともと本人がずっと勉強のできた子だったので、できない子どもの気持ちをわかってあげられないことが多いのです。東大の学生は中高一貫教育の学校出身者が多く、お金もちの家の子が多いようです。入学した大学のレベルと親の年収の額が比例している、というデータもあるようです。いい家庭教師を雇いたい親御さんは、妥協してはいけません。こればかりは、人づてに頼ったり、自分から大学の学生課に相談するなどの努力が必要でしょう。
国語力をはかるのに最適な方法は小論文と面接です。

 親離れ子離れ
 いつも一緒です。子どもが可愛いくて、甘えてくれるのが嬉しくて、子どもの身の回りの世話をするのが生きがいになっています。
かわりに父親は家にいなくて平気、いない方が楽という「隠れ母子家庭」現象が起きているのです。
子どもが結婚したり、恋人をつくって家を出ていくなんて寂しくて耐えられない。このままいくと、結婚できない子どもたちはどんどん増えていきます。若者が結婚しない理由は経済的だけではなく、子離れできない親にもあるのです。
早く孫の顔を見るためにも、子どもが大学に受かったら、さっさと家から追い出し、自活させるべきなのです。子どもが生まれなければ国は滅びます。昔の子どもは、威厳のある父親から道徳を厳しく学んだものです。子どもを愛せない親は、親の資格がありません。過剰な愛情が問題なのです。二人、三人の子どもをもつ母親と一人っ子の母親では愛情の強さが違います。本当に子ども幸せを考えるのであれば、自分が一人になっても、子どもを自立させるべきなのです。

 親は早く子を親離れさせ家から追い出し、自分の人生を楽しめばいいのです。
大学受験が終わったら、子育ては修了です。大学受験が終わった子どもは、さっさと家から追い出しください。遅くても、大学三年までには自立させてください。25歳を過ぎて親と暮らしている子どもは問題児です。とくに男の子について問題があります。自立心の低い子どもは、家で親と暮らすという快適環境をなかなか手放したくないでしょう。こういう家庭の子どもは根気がありません。

 家から追い出し自立させれば、責任感がつきます。帰るところがなければ、仕事にも真剣に取り込みます。親御さんは旅立っていった子どもが孫を連れて遊びにくるのをじっと待っていればいいのです。
生物学的にいえば、男の子は思春期を迎えると女性に興味をもち、恋人をつくりたくなります。そこが親離れの出発点です。

 私個人としては結婚は早ければ早い方がいいと思っています。男性も女性も27歳ぐらいまでには結婚するのが理想なのではないでしょうか。
趣味、話が合う、食べ物の好みが合う、などウマが合うことは円滑な人間関係の一番重要な要素です。

 趣味の大切さ
真面目に家族のためにコツコツ働き、勤続40年、定年を迎える父親が家にいるようになったら急に老け込み、うつ病になったり認知症になったりするケースが増えています。
こういう人たちは趣味をもっていないのです。
趣味が見つからない人は次から次にどんどんトライすればいいのです。若いうちに趣味を身につけていくと、老後はいっそう豊なものになります。他の人がボーっとしている時間に、それまで読めなかった本を存分に味わえる。弾きたかったピアノの練習ができる。描いてみたかった油絵に挑戦できる、行きたかったところへ旅行できる。したいことがたくさんで、ボケている暇なんてありません。

 本来、現役で仕事をしているときよりも引退してからの人生は楽しいはずなのです。
むちろん、そのためには、ある程度の蓄えは必要となりますが。
子育てと老後はつながっています。幼いころに読書の楽しみを覚えると、その習慣は一生抜けません。ゴルフは体が弱い時できなくなりますが、読書はベッドで寝ていてもできます。
テレビばかりみている人はボケやすいようです。しかし、読書は逆のようです。自分から求める前向きな知識と、黙っていても一方的に流される情報を受け取り続ける人任せの情報の違いでしょう。

 主体性について
主体性とは、自らやりたいことを見出しそれを実践していく力です。
・自己の好奇心や心情に素直であること
・学問とは自らの純粋な好奇心を起点とするもの
・芸術とは自らの純粋感受性を起点とするもの
これらの知識と感受性がバランスよく育つために主体性は欠かせません。
人があることに打ち込んで、そこに自己の高まりや深まりを感じ取ることができれば、その人が幸福です。それには、主体的に物事をとらえる習慣が身についていなければなりません。
本来、主体性を確保ためにこそ学習があるのだと思います。子どもに勉強させたければ親が勉強する、子どもをしっかりさせたかったら親がよりしっかりする、子どもに主体性をもたせたかったら、親であるあなたが主体性的生きてみせなければなりません。

 読み終えました。参考になることも多々ありました。わたしにとっては、子の教育には、手遅れですので、孫の教育には、少し活かせればと思います。

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