~四大必須科目「音読」「作文」「暗算」「焚き火」~(松永暢史著)
受験術
受験はちょいと厄介です。かなりひねくれた性格をしております。
人気校の受験問題は人を不合格にするためにつくってあるので、答えにくくひねくれてつくってあることが多いものです。そのため、あまり長く受験と関わっていると受験生までひねくれてくるのです。
読書、音読、作文、外遊び、焚き火、キャンプと、子育ての重要アイテムを説明してきました。これらのアイテムによって頭のいい子が育ち、結局は受験にも役立つことばかりなのですが、受験は、少し違います。
受験術とは、一時的な勉強法で、最短の時間で最低の労力で受験を乗り越える賢いテクニクなのです。私の編み出した受験術は十七歳からでも間に合います。
受験勉強を何年も続けていたら、せっかく育てた頭のいい子が頭の悪い子になってしまいます。感受性の瑞々しいうちにたくさんのものを吸収するのが正しい姿です。
きちんと子育てされた子どもが本格的に勉強をはじめたら短時間でぐんぐん伸びます。地元の公立校なら通学はせいぜい十五分程度です。公立校のメリットはあらゆる階層、学力の子どもとふれあえることです。
比較的勉強のできる、お金持ちの子どもが多く集まった私立校のメリットもありますが、人間の幅を広げる点では公立校をおすすめします。
私立校は授業料がかかるだけではありません。偏差値の高い子どもが集まった私立校では、現実問題として親の年収が1000万円はないと苦しくなります。
普通の家の子どもが生活すると、息苦しさを感じ、場合によっては無気力状態になる恐れまで出てきます。私立校は通学時間がかからず、じっくり地域と親しめ、その上余分なお金をピンポイントで塾や家庭教師に使うこともできます。
中学校決定には、通学時間とかかるお金を前もって考えてから臨んでください。
過去問を徹底研究せよ
過去問は宝の山です。過去問には翌年に出題される問題のヒントがつまっています。大学入試だけではなく高校入試も中学入試も過去問題集は出版されており、同じように役立ちます。志望校の過去問題を研究すれば、合格率は確実にはね上がります。これは徹底分析するべきものなのです。
過去問でわかることその一。
出題傾向が確実に分かります。出題傾向というのはたとえば、英語に圧倒的比重がある、日本史や世界史ではかなり細かいマニアックな問題が多い、マークか筆記か、などなど、その学校の出題のクセのようなものがあるのです。
過去問でわかることその二。
出題予想ができます。
たとえば、ある大学の国語の入試問題で、古典は平安文学が圧倒的に多く、たまに江戸文学になるという傾向があったとします。
大学入試の場合、問題を二つか三つの出題グループが交代でつくっているケースが多いようなのです。同じ人たちがつくっているのですから、同じ傾向の問題が二~三年おきに出題されるケースがよくあるのです。
過去問を研究すればするほど、出題される問題が予想できてくるのです。こういうことを知っている受験生とそうでない受験生の差は歴然です。過去にまったく出題されていない問題に気づきます。
選択肢問題がひねくれているか素直か、現代文は評論か随筆か小説か、英語には時事ネタが出題されるかなどなど、年度別に細かく分析して行けば、ますます出題が絞られてくるのです。
受験に勝つとは試験に合格することです。試験に合格するとは問題を解くということです。志望校の過去問題を骨の髄までしゃぶり尽くすのは合格への近道です。
一番要領のいい合格は最低点で合格することです。
合格最低点は公表されていて、過去問にも書いてあります。合格最低点は受験雑誌や大手予備校のデータでもわかります。
ある程度の基礎力があれば、合格最低点法は決して難しくありません。合格のために過去問の分析を必死になってしてください。
正解のクセを見抜く
選択問題というのは、カンのいい悪いでも差がつきます。カンのいい子どもは、他人のちょっとしたクセを見抜く能力や直観力に長けています。どんな問題にも出題者のクセが出るのです。
外遊びに長けた子どもはこれを見破る力があるのです。カンが良くない普通の子どものためにコツを伝授いたしましょう。明らかに違うものを消去していき、二つに絞ります。ここまではそれほど難しくないと思いますが、敵もさるもの。残った二つが厄介なのです。その二つの意味の違いがわかるまで読み返します。
過去問を徹底的に分析すれば、受験校の出題者のクセがよくわかります。選択肢問題を出題者のオジサンの顔を思い浮かべながら研究してみてください。だんだんとそのオジサンの性格がみえてきます。
迷ったときの確率の高いバクチのようなものです。
得意科目で高得点
ほとんどの学校は6割6分の得点で合格です。3教科、300点満点の入試なら、198点とればいいのです。3問のうち2問正解すればいいのです。3問中1問間違えてもいいのです。
合格最低点法は就職試験や昇進試験にも応用が利きます。
センター試験は頭を悪くする
「センター試験ほどつまらなく、受験生の頭を悪くするものはない」。
その試験問題といったら、あいもかわらずひたすら詰め込み型の暗記力を讚え、とくに国語と社会は馬鹿げたレトリックで頭を混乱させるだけの意味のない問題のオンパレードです。それに、一切の表現を許さないマークシート塗りつぶし試験です。こんな問題を解くために勉強していたら人間がだめになります。受験勉強で人生は決まりません。出身大学でも決まりません。しかし、志望する学校に入って自分のしたいこと、興味のあることをやるためならば、合格を勝取るしかありません。
思わずニヤッとさせる出題をする学校は魅力的です。
音読の威力
音読は国語力を伸ばします。私は音読が受験を制す、とまで思っています。なぜ音読が受験を制すか?簡単にいうと、問題文を間違えずに読み切るからです。松永式音読法は一音一音を区切って助詞、助動詞をとくに意識して読みます。音読レッスンでは、もちろん声に出して読みます。
試験でよくあるうっかりミスの大半は、設問文の読み間違え、あるいは早とちりといったことから起こります。
暗記ばかりして成績をあげてきた子どもは、実は問題文を正確に読み込む力が未熟なのです。音読法には第二段階もあります。音読法を進化させた「速読」です。一音一音区切って読む音読に慣れたら、読むスピードをあげるのです。これ以上早く読めないというスピードに達したら音読から黙読に切りかえます。普通の音読の二倍以上の速さで速読法ができれば恐いものなしです。
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