2009年10月24日土曜日

八ケ場ダム(1)

 前原国交相が八ケ場ダムの建設中止を明言して、地元の町長や県知事が「白紙に戻せ」と、気炎を上げています。10月19日には、東京都知事や5県の知事が、見学に行き、地元の人たちから、意見を聞き、各知事は自分たちの考えを述べていました。正直なところ、どうも違和感を覚えます。前原国交相が行った時には、「地元の皆さんと話し合いたい」というのに会わせず、抗議文を読み上げただけでした。嫌がらせ以外のなにものでもありません。細かいことですが、今回のこれらのバス代やヘリコプターのチャーター代は、誰が払ったのでしょう。
 ところで、八ケ場ダムは、ダム建設が決まってから50年以上が経ちます。この間、八ケ場ダムがないことによって、何の不都合もありませんでした。わたしが、心配したのは、先日の台風です。これによって、下流地域に洪水が出ると、「前原氏の首が飛ぶぞ」と心配していましたら、なんの被害もありませんでした。この台風は、この10年で最大最強でした。これで、知事らのいう治水というのは、まず正当性がなくなりました。利水も、もう充分です。渇水ということもありません。第一、これ以上、東京に人が住むというのは、異常です。そうなるとここにダムを造る必要はありません。立ち退きを強制された人たちの補償問題は、べつです。
 国交省の役人が、まったく信用がおけないと思ったのは、20日のテレビで、6知事に対して、ダムの造られる建設予定地について、「このようなしっかりしたダムサイトはない」と言っているのです。これに対して、ある知事は、「君たちのPRが下手なのだ。しっかりPRしなさい」と言っていました。これらは、すべて、テレビ局のカメラに捉えられています。
 ところが、国交省役人がこれ以上のダムサイトはないと言った予定地は、1970(昭和45)年の第63回国会衆議院地方行政委員会において「ダムの基礎地盤としてきわめて不安定」と指摘された場所だったのです。ダム建設反対派は、不適切な地質条件の場所であるとして訴えましたが、国交省は、その後の地質調査の結果から見てダム建設には問題ない場所であるとの見解を示しました。
 さて、このダムの建設中止になぜ、かくも熱くなるのでしょうか。国土交通省からのOB天下りを受け入れた公益法人と企業が、競争入札を行わない随意契約で多数の業務を受注していました。2004年前後の数年だけで事業の落札に絡んだ37社の企業に国交省から52人、随意契約業者57社に99人、財団法人国土技術研究センター、同ダム水源地環境整備センター、同ダム技術センターなど7つの公益法人に25人が天下っていました。これらを明らかにしたのは、民主党の衆議院議員長妻昭氏です。2007年に国交省から得た資料によって判明し、政官業癒着が物議を呼びました。これでは、ダム建設は止められません。現在、進行中、計画中のダムが100以上ありますが、八ケ場ダムと同じく、天下りがごまんといることのでしょう(明日に続く)。

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